鳥栖―山形 前半、PKを決める鳥栖の西川潤=駅前不動産スタジアム

サガン逃げ切り、5位浮上 第11節

 サッカー・J2サガン鳥栖は第11節の25日、鳥栖市の駅前不動産スタジアムでモンテディオ山形と対戦し、2-1で競り勝った。通算成績は5勝2分け4敗(勝ち点17)で、順位を三つ上げて暫定5位になった。鳥栖は引き分けをはさみ4試合負けなし。

 鳥栖は前半19分、井上太聖が左足でゴールを決めて先制した。31分には新井晴樹が得たPKを西川潤が決めた。

 首位の千葉は秋田を3―1で下し、4連勝で勝ち点を30に伸ばした。2位の大宮は札幌に1―0で競り勝って同23。仙台は愛媛と1―1で引き分け、同19とした。

 第11節の残りは26日に行われる。第12節は29日にあり、鳥栖は29日午後2時から大分市のクラサスドーム大分で大分トリニータと対戦する。

【戦評】鳥栖、攻守がかみ合う

 鳥栖は攻守がかみ合い、山形を2-1で破った。

 前節と同じスタメンで試合に臨んだ鳥栖は、前半の立ち上がりから、新井や西川が積極的なプレスを見せて相手ゴールに迫った。19分、井上が相手GKのはじいたボールを右足のトラップで切り返し、そのまま左足を振り抜いて先制ゴール。31分には新井が奪ったPKを西川が冷静に決め、2-0とリードを広げた。

 後半は山形の反撃に遭ったが粘り強い守備が光った。45分に一瞬の隙をつかれて1点を献上したが、全員が足を止めず、追加タイムをしのぎ切った鳥栖が競り合いを制した。

絶え間ない反撃、耐えた 監督「個人もチームも成長している」

鳥栖―山形 試合終了間際、相手の猛攻をしのぐ鳥栖MF堀米勇輝(右から3人目)=駅前不動産スタジアム(撮影・鶴澤弘樹)

 鳥栖の執念が勝利をたぐり寄せた。後半、山形の絶え間ない反撃に集中力を切らさず、2-1で逃げ切り。全員で勝ち点3をつかんだ。

 前節の山口戦は後半に精神面のもろさを露呈し、わずか5分間で2失点を喫した。この日、2点リードして迎えた後半。相手に押し込まれる時間が長く続き、45分には1点を返されたが、ここから前節との違いを見せた。その後も続く山形の猛攻に食らいつくと、誰一人勝利を諦めず、必死に脚を動かし続けた。

 時計が進むにつれて高まるサポーターの熱気に呼応するように、選手たちのボルテージも上がっていった。後半の追加タイム6分を全員が走り抜き、泥臭くしのいだ。この日先制ゴールを決めたDF井上太聖は「失点しないことを第一に声を掛け合い、横と縦がつながった」と振り返った。

 山形との勝ち点差はわずか2で、試合前に小菊昭雄監督が「勝つと上位の背中が見え、負ければ下位争い」とハッパをかけたように、絶対に落とせない一戦だった。

 チームは4月に入り、4戦負けなし。これまで取り組んできた戦術が攻守に浸透しつつある。「個人もチームも成長している」と小菊監督。この日の勝利でついに白星が先行した。J1復帰への歯車が回り始めた。(丸山美陽)