鳥栖-今治 後半、競り合う鳥栖FWジョー(右)=駅前不動産スタジアム

サガン 守備崩壊4失点 鳥栖1-4今治 第3節第1日

 サッカー・J2サガン鳥栖はリーグ戦第3節第1日の1日、鳥栖市の駅前不動産スタジアムで初昇格のFC今治と対戦し、1―4で完敗した。鳥栖は開幕から3連敗。

 千葉は山形に3―2で競り勝ち、開幕3連勝とした。長崎は磐田を1―0で破った。磐田は初黒星。

​ 第3節の残りは2日に行われる。第4節は8、9の両日にあり、鳥栖は9日午後2時から、福島県のハワイアンズスタジアムいわきでいわきFCと対戦する。

【戦評】

 鳥栖は攻守でいいところなく今治に4失点し、完敗した。

 前半立ち上がりは森下や小川を軸に粘り強く守った。しかし、中盤以降にリズムをつかんだ相手の勢いを止めることができなかった。22分にクロスの折り返しを合わせられて失点、34分にはゴール正面のFKを直接決められた。さらに追加タイムに1点を失い、0―3で折り返した。

 後半は選手交代で息を吹き返した。後半からピッチに立った酒井を起点に前線から圧力をかけ、20分には西矢がミドルシュートを放ったものの、相手GKの好守に阻まれた。32分にロングスローをジョーがつないでスリヴカが右足で流し込んで2点差としたが、終盤にだめ押し点を献上した。

見せ場つくれず 指揮官「責任感じている」

鳥栖-今治 後半、相手GKがはじいたこぼれ球をシュートにつなげられず、悔しがる鳥栖FW新川志音(手前)とFWジョー(右奥)=駅前不動産スタジアム(撮影・山田宏一郎)

 「このままでいいのか」―。巻き返しを信じる拍手をかき消すほどのブーイングが起きた。鳥栖はJ2初挑戦の今治相手に攻守の両面で見せ場をつくれず、J1だった2019年以来、6年ぶりの開幕3連敗。小菊昭雄監督は「ゲームコントロールに責任を感じている」とうつむいた。

 前線から圧をかけるのか、強力な相手2トップを抑えるのか。選手同士の意思統一ができないまま時間が過ぎた。森下怜哉は「バトルの部分で負けていた」と唇をかんだ。前半だけで3失点。ロッカールームに引き揚げる選手にゴール裏からは不満の声が響いた。

 勝利を渇望しているのは選手だけではない。今季初勝利を願う「サポーターの思いを無駄にはできない」。後半から入った選手からはそんな気概が伝わった。

 酒井宣福は前線からボールを懸命に追いかけた。堀米勇輝は「何とか1点ずつ返す」とクロスを供給した。だが、1点を返すのがやっとだった。
 開幕戦の入場者は1万1000人を超えたが、この日は6000人。堀米は「こんなふがいない試合をしていたら、誰も来なくなる。現実をしっかりと見なければいけない」と危機感を口にした。
 J1復帰に向けて全員が努力を重ねているのは事実。ただ、現状はそんな悠長なことを言っている場合ではない。(小部亮介)

スリヴカ今季チーム初得点

鳥栖-今治 後半32分、鳥栖MFスリヴカ(右)が1点を返す=駅前不動産スタジアム

 後半32分にヴィキンタス・スリヴカが今季チーム初得点を決めた。ホームでサポーターに初勝利を届けたい思いが募っていただけに、「得点を取れたことはポジティブに捉えているが、結果は残念」と悔しがった。

 前節のジュビロ磐田戦でPKを外し、「得点にかける思いは強かった」と、ゴール前の混戦でこぼれ球を押し込んで意地を見せた。取材エリアでの足取りは重く、「サッカーは時にして勝てない瞬間が訪れるが、成長できる瞬間でもあり、乗り越えていきたい」と前を向いた。(井手一希)

堺屋、気迫のプレーけがから復帰

鳥栖-今治 後半、鳥栖MFスリヴカの得点の起点となったMF堺屋佳介のロングスロー=駅前不動産スタジアム

 けがで出遅れた鳥栖の堺屋佳介は後半開始から左サイドバックとして出場。ドリブルで持ち上がるなどしてチーム最多3本のシュートを放った。今季初得点の起点となったが「負けたら意味がない。納得いかない」と吐き捨てた。

 3点を追う場面でピッチに入った。「目の前の相手に負けない」と、やることははっきりしていた。球際に激しく寄せ、ラインを割りそうなボールにも最後まで足を止めなかった。後半32分にはロングスローからスリヴカの得点につなげた。

 けが明けとは思えないプレーで気迫を見せたがチームは3連敗。「新川(志音)ら若手でチーム(の雰囲気)を変えていく。練習から『やってやるぞ』という気持ちを見せていく」と顔を上げた。(小部亮介)