鳥栖―磐田 前半、中盤で争う鳥栖MF櫻井辰徳(中央)。右は鳥栖DF井上太聖=静岡県

サガン悪夢開幕2連敗 鳥栖0-1磐田 第2節第1日

 サッカー・J2サガン鳥栖はリーグ戦第2節第1日の22日、静岡県磐田市のヤマハスタジアムでジュビロ磐田と対戦し、0―1で敗れ、今季初勝利を逃した。鳥栖は開幕から2連敗。

 J2復帰の大宮は甲府に1―0で勝ち、開幕2連勝とした。千葉は富山を2―0で退け、磐田とともに連勝。3チームが勝ち点6とした。
 第3節は3月1、2の両日に行われ、鳥栖は1日午後2時から、鳥栖市の駅前不動産スタジアムでFC今治と対戦する。

【戦評】

磐田―鳥栖 試合に敗れ肩を落とす鳥栖イレブン=静岡県

不運な形で失点した鳥栖は、磐田に0―1で惜敗した。

 鳥栖はGK梁韓彬(ヤン・ハンビン)を軸に粘り強く戦い、前線の高い位置からプレスをかけて相手に攻撃の形をつくらせなかった。逆にセットプレーからゴールに迫ったものの1点が遠く、前半を0―0で折り返した。

 後半立ち上がりから主導権をつかんだのは鳥栖。西矢や西澤が果敢にシュートを放ったが、ゴールネットを揺らすことができなかった。後半37分には守備の背後を取られて失点。直後に獲得したPKを外すなど、最後まで得点を奪うことはできなかった。

シュート14本不発 PKも阻まれ

 攻守に前向きな試合内容だった。ただ、シュート14本を放っても、ゴールネットを揺らせなければ勝利はもぎとれない。2戦連続で完封負けを喫し、鳥栖のFW山田寛人は「後ろの選手たちが頑張って(守って)くれているのに申し訳ない」とうつむいた。

 前線から圧をかけ続けるサッカーを体現し、多くの好機をつくった。後半開始直後は、さらにギアを上げて何度も攻め立てた。しかし元日本代表で百戦錬磨の相手GK川島永嗣に阻まれた。

 いい攻撃は守りにも好影響を与えた。MF新井晴樹とDF森下怜哉の連係で相手右サイドの攻撃力を弱め、DF小川大空が空中戦を制した。それでも、ワンチャンスをものにされた。

 守備ラインを高く保つことでできた空間のカバーはGKの役割。梁韓彬(ヤン・ハンビン)は、後半37分のロングボールに飛び出したが、上空の風の強さや芝の乾き具合などで判断に微妙なずれが生じた。梁は「目測をはっきりできなかった。失点は判断ミス」と自らを責めた。

 「負けているということは何かが足りない」と櫻井辰徳。若いチームにとって、勝利こそが最大の薬になる。本気で優勝を目指すなら、ここで足踏みするわけにはいかない。(小部亮介)
 

新川、堂々デビュー 「力まずプレーできた」17歳、PK獲得

鳥栖―磐田 後半、シュートを放つ鳥栖FW新川志音(左から2人目)=静岡県

 開幕直前に2種登録された鳥栖U―18のFW新川志音が、後半33分からピッチに立った。Jリーグデビューを果たした17歳は「(仕掛けて)PKを獲得できたことはポジティブに捉えたい」と前を向いた。

 沖縄キャンプに帯同し、練習試合では積極的にシュートを放つなどアピールを続けた。開幕戦のベガルタ仙台戦でベンチ入りし、「サポーターの声援は力になる」と肌で感じた。

 この日は「力まずにプレーできた」と、17歳とは思えない落ち着いたプレーを見せた。失点直後には、持ち味の果敢なドリブルで切り込んでPKを獲得するなど、力を存分に見せつけた。

 悔しいデビュー戦になったが、結果が求められるプロの厳しさを味わうことができた。「FWである以上は得点を取りたい」。第一歩を踏み出した若武者は、悔しさを胸に刻んで成長していく。(小部亮介)

西澤、地元静岡で存在感

鳥栖―磐田 後半、競り合いながらシュートを放つ鳥栖MF西澤健太(左)=静岡県

清水エスパルスから加入した西澤健太が右サイドハーフで存在感を発揮したが、チームは開幕2連敗。「自分たちの努力と結果が見合わないのはこれで最後にしたい」と唇をかんだ。

 静岡県出身。下部組織を含めて12年間プレーした清水と、同県でしのぎを削る磐田には特別な感情がある。「DNAというか、刻まれているもの。絶対に負けられない相手」とピッチに立った。

 試合前、磐田サポーターからは大ブーイングの“洗礼”を浴びた。「僕という選手を認識してもらえて幸せ」。右サイドで起点をつくり、セットプレーでも正確なキックを蹴り込むなど持ち味を発揮したが、結果に結びつかなかった。「次は(磐田サポーターを)黙らせるぐらいのプレーをする」と固く誓った。(小部亮介)