ベガルタ仙台との今季開幕戦で、ヘディングシュートを狙うサガン鳥栖のDF森下怜哉選手(右上)=鳥栖市の駅前不動産スタジアム(撮影・米倉義房)

J2サガン鳥栖、リーグ開幕戦競り負け 第1節第1日 鳥栖0ー1仙台

 サッカー・J2サガン鳥栖は15日、鳥栖市の駅前不動産スタジアムでベガルタ仙台とのリーグ開幕戦に臨んだ。スタジアムに訪れた1万1610人の熱い声援を受けたサガンの選手たちは、最後まで粘り強く戦ったが、0―1で競り負けた。

【戦評】

 鳥栖は後半の失点に泣き、仙台との開幕戦を落とした。

 前半はスリヴカを起点に攻撃を展開した。左サイドの新井の突破で何度も好機をつくったが、得点に結びつけることができなかった。守備では森下や小川が体を張って無失点に切り抜けた。

 後半は立ち上がりから波状攻撃を仕掛けた。開始直後には西矢は左足を振り抜き、3分にはCKから小川が頭で合わせたが、ネットを揺らすことはできず。逆に26分にサイドからのクロスに合わせられて失点。最後まで攻撃の手を緩めなかったが1点が遠かった。

小菊昭雄監督「可能性は表現できた」

 攻守にアグレッシブさを出し切った。小菊昭雄監督の指揮の下、初陣に臨んだ“新生サガン”は、J1昇格候補の仙台とがっぷり四つでやり合ったが惜敗。1万人を超えるサポーターにチームが目指す方向性は示し、小菊監督は「敗れたが大きな可能性は表現できた」と顔を上げた。

 J2で昨季6位の仙台との一戦は、復帰組を含めて19人が加わった「ゼロからスタートした若いチーム」(小菊監督)にとって、J1復帰を占う上で最高の相手だった。開幕戦という独特の雰囲気の中、鳥栖の選手たちは積み上げてきたものをピッチ上で体現した。

 試合序盤は硬さからか、細かいミスなど連係面で不安要素が出た。それでも、最終ラインからボールをつないで攻撃に転じるスタイルを徹底。多くの時間で主導権を握り、森下怜哉は「緊張がほぐれてトライできたシーンも多かった」と手応えを口にした。

 勝敗を分けたのはわずかワンプレーだったが、J2優勝を掲げる上ではその一つが命取りになる。「目標のためには勝ち続けないといけない」と森下。38分の1試合であっても取りこぼしが許される試合はない。まずは1勝をつかむことに全力を注ぐ。(小部亮介)

DF安藤寿岐がプロデビュー 多久市出身 開幕戦黒星に「恩返しできず心残り」

鳥栖―仙台 前半、スローインでボールを手にする鳥栖DF安藤寿岐=駅前不動産スタジアム

 多久市出身のDF安藤寿岐が開幕戦でプロデビューを果たした。当たり負けせず戦った21歳は、「素晴らしい声援で後押ししてもらえた。結果で恩返しできなかったことが心残り」と悔やんだ。

 沖縄キャンプで右脚を痛め、別メニューで調整した。「いい意味でリフレッシュできた」。2月に入って全体練習に合流したばかりだが「目標にしていた」開幕戦のピッチに立った。

 「『安藤寿岐』という名前を知ってもらえるようなインパクトのあるプレーをしたい」。右サイドバックで出場し、鳥栖U―18で2年間プレーした相手のMF相良竜之介(武雄市出身)とマッチアップ。「うまく抑えることができた」と胸を張った。

 筑波大蹴球部を3年で退部し、強い覚悟でプロ入り。デビューに安どしながらも、「チームを勝たせる強い気持ちを持って取り組んでいく」と顔を上げた。(小部亮介)