
連勝で締め来季に光 鳥栖3-0磐田 J1最終節
サッカー・J1サガン鳥栖はリーグ戦最終節の8日、鳥栖市の駅前不動産スタジアムでジュビロ磐田と対戦。3―0で快勝し、今季3度目の連勝で最終戦を締めくくった。通算成績は10勝5分け23敗(勝ち点35)の最下位の20位で今季の戦いを終えた。磐田は勝ち点38で18位となり、1シーズンでのJ2降格となった。
【戦評】
鳥栖は磐田から3点を奪って完封勝利を収めた。
試合序盤は磐田がボール持つ時間が続いたが、鳥栖は前半16分に富樫のゴールで先制。30分にはマルセロヒアンが追加点を奪い試合を優位に進めた。後半15分にはヒアンが2点目を流し込み、さらにリードを広げた。21分からは今季限りでの引退を表明している藤田と岡本も出場。最後まで一丸となってゴールを守り抜いた。
富樫先制「最後に結果示せた」
J2を戦う来季へ希望の光が差し込む今季3度目の連勝だった。鳥栖は磐田を3―0で下し、今季最終戦を白星で飾った。先制ゴールを奪った富樫敬真は「降格という結果は変わらないけれど、サポーターに何を示すか大事な試合で、最後に(結果を)示すことができた」と力強くうなずいた。
今季の中盤までは後ろでボールをつなぎながらゴールを目指したが、相手の守備を崩せず「ただ回すだけ」の時間が多かった。磐田戦を含め、降格が決まってからの試合は、前進することをより意識したボール回しで得点機会も増え、降格後の4試合のうち3試合で複数得点を記録した。
リーグワーストタイの68失点を記録した守備も最後の2試合は無失点。攻守がかみ合っての連勝だった。中原輝は「2試合連続完封と3得点は簡単ではない。磐田もすごい熱量だったけど、そういう相手に勝てる力はある」と強調した。
一方で「年間を通して力を出せなかったのは自分たちの責任」と痛感する。今の戦いがもっと早くできていればという「たられば」はもちろんある。過去は振り返らず、この勝利を来季にどう生かすが求められる。朴一圭は「この試合の内容やサポーターの応援を全部背負って一から歩んでいくしかない」と前を見据えた。(中村健人)
背番号14 藤田、勝利に貢献 現役ラストゲーム「本当に感謝しかない」

現役最後の試合に臨んだ藤田直之は、後半22分から出場した。磐田の攻撃の目を摘み取り、完封勝利に貢献。引退試合を勝利で飾った。クラブやサポーターに対し、「想像もしていなかった世界を見せてもらった。本当に感謝しかない」と頭を下げた。
「あれだけ拍手をしてもらってすごく幸せだと思った」とピッチに入った。代名詞のロングスローも披露し、集まったサポーターを沸かせた。
J1昇格時を知る藤田は、引退セレモニーで「チームが一つになりサポーターを巻き込んで戦うと、とてつもない雰囲気をつくれることを知っている。サポーターの皆さんには、来季も選手を支えてほしい」と涙ながらに呼びかけた。
今後は指導者の道を志し「自分がこのチームの監督として戦っている姿を想像したときに、わくわくしている自分がいる」とも語った。
最後は背番号と同じ14回胴上げされ、祝福を受けたキャプテンは、笑顔で駅前不動産スタジアムのピッチを後にした。(中村健人)
引退の岡本と森谷、充実感

今季限りでの引退を表明したGK岡本昌弘は、3点をリードした後半22分に、朴一圭に代わって15年ぶりとなるJ1リーグ戦出場を果たした。無失点で試合を締めくくり「最後の時間をかみしめながら雰囲気を楽しむことができた」と充実の表情だった。
出場の準備をしつつ、「もう少し遅い時間の出場になるかと思った」が、点差が開いたことで出場時間が早まった。プロ23年間で「途中出場は初めてだった」と慣れない起用法だったが、好セーブを見せるなどしっかりと試合を終わらせた。

同じく引退する森谷賢太郎は、試合後の引退セレモニーで「14年間は平凡なキャリアだったかもしれないが、唯一誇れることはたくさんの方々に応援してもらえたこと」と振り返り、「皆さんのおかげで幸せなプロサッカー選手生活だった」と笑顔で語った。(中村健人)
木谷監督、選手たたえ 初のトップチーム指揮
シーズン途中から指揮を執った木谷公亮監督は最終戦を勝利で飾り、初めてトップチームの監督に就任したシーズンを終えた。「就任してから言ってきたことを、選手たちがやり続けてくれたことが、勝利につながった」とたたえた。
残留をかけて挑んできた磐田に対し、「強度や前への意識、球際の一歩などを最後の試合で全員が出してくれた」。降格が決まった中で集大成を見せつけた。
降格が決まったあとの4試合を3勝1敗と勝ち越した。残留を逃した難しい状況で好成績を収めたことが評価され、リーグの11・12月度月間優秀監督賞を初受賞。J1昇格当時を知る指揮官が、最後に攻守ともに強度の高いサッカーを取り戻した。(中村健人)
来季ユニホームデザインお披露目

試合後のセレモニーでは、来季選手たちが身にまとうユニホームのデザインが発表された。
ホーム用のファーストユニホームは1人ひとりの小さな力を集結し、大きな岩になって立ち向かう姿勢、アウェー用のセカンドユニホームは貪欲に勝利を向かう姿勢をそれぞれ表現している。
胸部のスポンサーの「木村情報技術」(佐賀市)をはじめ、ユニホームスポンサーは今季から変更はない。同社の木村隆夫社長はセレモニーの中で「J2になってもJ1のとき以上にサポートをしていきたい」と話した。(中村健人)