町田戦の後半39分、勝ち越しゴールを決めて喜ぶ鳥栖MF寺山翼選手(手前中央)=鳥栖市の駅前不動産スタジアム

13試合ぶりの白星 木谷監督体制で初勝利、J1通算150勝達成

 サッカー・J1サガン鳥栖はリーグ戦第35節最終日の3日、鳥栖市の駅前不動産スタジアムで町田ゼルビアと対戦。2―1で競り勝った。リーグ戦13試合ぶりで、木谷公亮監督体制になって初勝利。J1通算150勝も達成した。通算成績は8勝5分け22敗(勝ち点29)で最下位の20位。5試合勝ちなしの町田は勝ち点60で3位。
 第36節は9、10日にあり鳥栖は9日午後2時から、鳥栖市の駅前不動産スタジアムで横浜F・マリノスと対戦する。

【戦評】

 鳥栖は町田との接戦を制し、13試合ぶりの勝ち点3を手にした。
 鳥栖は同点で迎えた後半39分、CKから途中出場の寺山がヘディングシュートを決めて1点を勝ち越した。前半20分に、右サイドからのクロスに合わせた鈴木が先制点を奪った。後半21分にミドルシュートを決められて一時同点に追いつかれたが、次の1点を許さず、逃げ切った。

17歳鈴木大馳、先制の一撃

鳥栖―町田 前半20分、先制ゴールを決める鳥栖FW鈴木大馳(左)=鳥栖市の駅前不動産スタジアム(撮影・米倉義房)

 鳥栖の未来を背負う期待のストライカーが、先発起用に見事に応えた。リーグ戦初先発の鈴木大馳が、前半に先制ゴール。下部組織で成長を続け、来季はトップチームに昇格する17歳は、「1年で絶対にJ1に戻ってくる。そのためにもゴールにこだわりたい」と前を見据えた。
 12試合勝利から遠ざかっている中、木谷公亮監督は「勝つための選択をした」とツートップの一角として送り出した。前半20分に右サイドの原田亘からのクロスを、相手DFを背負いながら押し込んだ。「味方の崩しが完璧だった。練習通りの動き出しができた」と胸を張った。
 後半途中から出場した前節の京都戦では、チームの降格を目の当たりにし、唇をかんだ。その悔しさを振り払うかのように、この日は本拠地のサポーターの前で初ゴールを決めた。
 鈴木は昨年のルヴァン杯で史上最年少の16歳7カ月でゴールを決めるなど、早くから将来を嘱望されていた。ホームの一体感や応援の力を改めて感じた逸材が、覚悟を持ってJ2で戦う来季の鳥栖を引っ張っていく。(中村健人)

「チームの新たな一歩に」寺山翼が値千金勝ち越しゴール

後半39分、勝ち越しゴールを決めて駆け出す鳥栖MF寺山翼=鳥栖市の駅前不動産スタジアム

 今夏、FC東京から期限付き移籍で加わった寺山翼が値千金の勝ち越しゴールを決めた。J1初ゴールが、チームの再出発となる勝利をもたらした。
 ボランチが主戦場だが、この試合は先制点を決めた鈴木大馳との交代で前線に入った。投入からわずか2分後、CKの流れから頭で押し込んだ。「与えられたところでやるべきことをやろうと思っていた」。得点という最高の結果を出し、サポーターの元へと走り喜びを爆発させた。
 加入してから勝利はなく、チームは降格が決まった。「申し訳ない気持ちでいっぱいだが、この勝利はチームにとって新たな一歩になる」。寺山の表情には自信が満ちあふれていた。(中村健人)