未だ本能寺にあり
【小説】未だ本能寺にあり(36) 今村翔吾・作、木村浩之・画
一章 秀吉の憂い(27)【羽柴秀吉譚】 如何(いかが)した、八右衛門(はちえもん)。何々、声だけで誰か判(わか)るのかとな。 判るぞ。皆の声を覚えておる。
【小説】未だ本能寺にあり(35) 今村翔吾・作、木村浩之・画
一章 秀吉の憂い(26)【羽柴秀吉譚】 上様の快諾を予期していたからには、家中の者が阿(おもね)りというのも間違ってはおらぬかもしれぬな。しかし、上様は儂(わし)のそのような打算もお見通し。全てひっくるめての長浜城…
【小説】未だ本能寺にあり(34) 今村翔吾・作、木村浩之・画
一章 秀吉の憂い(25)【羽柴秀吉譚】 領地を授かり、有頂天となった。喜んだのは儂(わし)だけじゃにゃあぞ。木下家中はお祭り騒ぎとなった。
【小説】未だ本能寺にあり(33) 今村翔吾・作、木村浩之・画
一章 秀吉の憂い(24)【羽柴秀吉譚】 金ヶ崎の撤退戦より、儂(わし)は明智光秀を常に意識することになった。この男には負けていられぬと、競うことになったのよ。
【小説】未だ本能寺にあり(32) 今村翔吾・作、木村浩之・画
一章 秀吉の憂い(23)【羽柴秀吉譚】 儂(わし)らは血に塗(まみ)れ、泥を啜(すす)り、草を喰(く)らって、猟犬の如(ごと)く迫りくる朝倉軍を凌(しの)ぎ続けた。その中で多くの家臣が死んでしもうた。
【小説】未だ本能寺にあり(31) 今村翔吾・作、木村浩之・画
一章 秀吉の憂い(22)【羽柴秀吉譚】 儂(わし)が殿(しんがり)を買って出たのが功を奏したのか、それとも儂のような者に負けてなるかと思ったのか、それからすぐに我も、我もと、名乗り出る者が続出した。
【小説】未だ本能寺にあり(30) 今村翔吾・作、木村浩之・画
一章 秀吉の憂い(21)【羽柴秀吉譚】 誰ならば殿(しんがり)を成し遂げられるのか、誰を死なせるのか。苦しい決断じゃ。それに選んだ者が、ほんの少しでも嫌な顔をすれば全軍の士気にも関わる。
【小説】未だ本能寺にあり(29) 今村翔吾・作、木村浩之・画
一章 秀吉の憂い(20)【羽柴秀吉譚】 決して口には出されぬがな。敵を欺くには、まず味方からという訳じゃ。これもまた上様がよく心掛けておられたことじゃな。
【小説】未だ本能寺にあり(28) 今村翔吾・作、木村浩之・画
一章 秀吉の憂い(19)【羽柴秀吉譚】 奉行として成果を上げ、調略を上手く纏(まと)め上げたとしても、藤吉郎には目立った武功が無い。武功が無ければ武士ではない。所詮は百姓という理屈じゃ。
【小説】未だ本能寺にあり(27) 今村翔吾・作、木村浩之・画
一章 秀吉の憂い(18)【羽柴秀吉譚】 いよいよ、不思議そうじゃの、八右衛門(はちえもん)。確かにそうじゃ。銭に名は書いておらぬ。
【小説】未だ本能寺にあり(26) 今村翔吾・作、木村浩之・画
一章 秀吉の憂い(17)【羽柴秀吉譚】 じゃが、佐吉はあまり喜んでおるようには見えんかったのじゃ。儂(わし)はそれが気に掛かって、話が終わった後、お主は大名になりたくないのかとこっそり聞いた。
【小説】未だ本能寺にあり(25) 今村翔吾・作、木村浩之・画
一章 秀吉の憂い(16)【羽柴秀吉譚】 儂(わし)は覚悟を決めて上様に思いの丈をぶつけた。いや、込み上げる感情をそのまんま吐露したのじゃ。「儂は御屋形様の傍(そば)近くで仕えとうございます。
【小説】未だ本能寺にあり(24) 今村翔吾・作、木村浩之・画
一章 秀吉の憂い(15)【羽柴秀吉譚】 上様が上機嫌であるのは一見して解(わか)った。まずお褒めの言葉を頂き、褒美も何か考えねばならぬとの仰せ。儂(わし)は天にも舞い上がる心地であった。
【小説】未だ本能寺にあり(23) 今村翔吾・作、木村浩之・画
一章 秀吉の憂い(14)【羽柴秀吉譚】 が、儂(わし)だけはこれを機会が巡ってきたと考えた。仕官を願った時と同じじゃ。上様が城内を歩かれている時、ぱっと前に平伏して、「猿でございます。
【小説】未だ本能寺にあり(22) 今村翔吾・作、木村浩之・画
一章 秀吉の憂い(13)【羽柴秀吉譚】 とはいえ……これでは幾ら時があっても足りぬ。話を進めるか。 この草履(ぞうり)の一件が切っ掛けだったかは知らぬ。
【小説】未だ本能寺にあり(21) 今村翔吾・作、木村浩之・画
一章 秀吉の憂い(12)【羽柴秀吉譚】 かといって、上様は人が触れたものを厭(いと)うというほどではない。事実、人の刀などは平気で触れなさる。
【小説】未だ本能寺にあり(20) 今村翔吾・作、木村浩之・画
一章 秀吉の憂い(11)【羽柴秀吉譚】 さて、草履(ぞうり)に足を入れた上様はすぐに気付かれた。こめかみに青筋を浮かべて、「猿、尻に敷いたであろう!」 と、お怒りになった。 儂(わし)は驚くことはなかった。
【小説】未だ本能寺にあり(19) 今村翔吾・作、木村浩之・画
一章 秀吉の憂い(10)【羽柴秀吉譚】 上様はもう振り向くことは無かった。ようやく追い掛け始めた供の者たちの声を背に浴びながら。天道様に溶け込むようにして行く上様の背を見つめながら。
【小説】未だ本能寺にあり(18) 今村翔吾・作、木村浩之・画
一章 秀吉の憂い(9)【羽柴秀吉譚】 上様と儂(わし)の目が合うた。次の言葉は何じゃと思う。「人か、猿か」 これじゃで。ほんに魂消(たまげ)たわ。 お主の周りにもおろう。
【小説】未だ本能寺にあり(17) 今村翔吾・作、木村浩之・画
一章 秀吉の憂い(8)【羽柴秀吉譚】 妙案と思ったが、いざ上様の見回りの時になると後悔した。椚(くぬぎ)の木陰に隠れて、がたがたと震えておった。
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