桑原昇
論説委員会・論説委員長
桑原昇 くわはら・のぼる

桑原昇記者の記事一覧

「犬派」「猫派」の価値

わがままで、気まぐれで、ひとの気持ちなどお構いなし。こんな隣人がいたら、誰だって頭にくる。

孤独な旅人

米国にも俳句をたしなむ人はいるらしい。いちばん親しまれているのは、やはり松尾芭蕉かと思えば、さにあらず。種田山頭火だという。

分かったような気持ち

ひとの身の上話や悩みごとを聞いて、「分かる、分かる」と相づちを打つことがある。相手の抱えているものが重ければ重いほど、語気を強めて。

何をのこすか…

昭和の二枚目スター長谷川一夫は晩年、40年近く連れ添った妻に先立たれた。

万博をどう読むか

若い夫婦が幼子2人と老いた父を連れて新天地をめざす。山田洋次監督の映画『家族』である。

動物にたとえれば

19世紀末のドイツで、ハンスという馬が話題をさらった。飼い主が算数の問題を出すと、ひづめを地面に打ちつけて見事に答えを当てる。

迷えるヒツジ

中国の故事にある。隣人が「若い者を貸してくだされ」と駆け込んできた。聞けば、羊が1匹逃げ出したという。逃げた方向は分かれ道ばかり。手分けして追わなければ間に合わない。

子どもの天国

〈日本を旅行すると、先ずどこでも子供がいることに気づく〉。明治初めに来日した米国の動物学者モースは書いている。朝6時半から学校へ向かう子、親の仕事を手伝う子、子守をする子…。

老いのかたち

人の心は不思議なものである。寝たきりの90代の女性に、研究者が枕元で質問した。「今、健康だと思いますか?」。答えは「元気だよ」。起き上がることもできず、状態がいいようには見えないのに。

あんぱんが教えること

ちょうど150年前の4月4日。明治天皇と皇后の花見の席に、新趣向の茶菓子が献上された。それが、あんぱん。

ほんとうの理由は…

とても喜ばしいことを社交辞令で「慶賀に堪えない」という。大正7(1918)年8月、神戸の商社・鈴木商店が焼き討ちされた。直後、会社に電報が届いた。「ケイガニタヘズ」。

開花の時季

桜がほころび始めたと思ったら、もう盛りを迎えている。各地から届く開花の便りも、関東以西は一斉に咲きそろった印象がある。

呪文の効用

江戸のむかし、出店でにぎわう土手の通りで、武士と修験者がけんかを始めた。武士が刀を抜こうとすると、修験者が何やら呪文を唱える。

「惜福」の暮らし

古くから季節のうつろいを伝えるのは「音」だった。この時季、繁殖期を迎えた鳥たちは恋の歌をうたう。さえずりがあちこちから聞こえて春の訪れを実感した◆いま、その感度は鈍くなっているのかもしれない。

マイナ免許証

病院の窓口で保険証を出す。カードを読み取り台に置くと、「暗証番号にしますか?」と機械が聞いてくる。近ごろはクレジットカードで買い物をしても暗証番号。パソコンを開けばパスワード。あれ、どれだったっけ。

食べ物の「期限」

〈家にあるものの中で、一番自分を知っていてくれるのは、もしかしたら冷蔵庫かもしれない〉。歌人松村由利子さんの著書に、そんなくだりがあった。

ラジオ放送100年

西欧で庶民が自分の時計を持ち始めたのは18世紀の産業革命のあと。工場で働くようになり、工場主が大時計の針をごまかして余計に働かせようとするのを防ぐためだったとか。日本では大正時代、腕時計が普及した。

いしだあゆみさん

ドラマ『北の国から』は、喫茶店で妹が姉をなじる場面から始まる。不倫をしたせいで、夫は幼い子ども2人を連れて北海道へたった。なぜ見送りに来なかったのか、と。「あの人には東京が重すぎたのよ…」。

流行歌の時代

橋幸夫さんと吉永小百合さんが歌った『いつでも夢を』は昭和37(1962)年のレコード大賞。この年の新人賞は北島三郎さんと倍賞千恵子さん。きら星のごとき顔ぶれである。

「お礼」の文化

食べものを仲間のもとへ運んで一緒に分かち合う。そんな文化を持っているのは人間だけだという。
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