日常生活から地域の防犯活動を
佐賀県警察は地域防犯の切り札として「ながら防犯」を推進している。ながら防犯は散歩や通勤、家事などの日常生活の中に「防犯の視点」を持つことで、年齢、性別問わず、誰もが参加できる防犯活動の一種。地域で起こりうる犯罪を住民が主体となって未然に防ぐ効果が期待される。今年1月に吉野ヶ里歴史公園で開かれた体験イベントの模様と、実際にながら防犯に参加しているボランティアの声を紹介する。

スタンプラリー形式でながら防犯の基本学ぶ
1月18日、吉野ヶ里町の吉野ヶ里歴史公園東口駐車場で開かれたながら防犯の体験イベントには、親子や犬などペットを連れた地元住民ら約100人が参加した。体験イベントは、ながら防犯のビギナーズになってもらおうと、佐賀県と県警察、県防犯協会が共同主催となり、昨年から開かれている。
体験イベントは、公園駐車場内に警察官が自転車盗や公然わいせつなど不審者になりすました6人をスタンプラリー形式で見つけ出し、「ゲーム感覚でながら防犯に参加してもらい、生活の中での防犯活動が簡単にできることを知ってほしい」とイベントを企画した県警察本部生活安全企画課は説明する。
同課から、ながら防犯のポイント「防犯の視点」のレクチャーを受けた参加者は、開始時間とともに、散歩やジョギングで防犯活動をスタート。挙動不審者や物陰に潜む怪しい人物を見つけ出すたびに、参加者は通報担当者へ〝通報〟した。イベント開始からまもなく、30分前後で参加者は、次々と不審者を探し出した。ただ、今回は道に迷って救助を求める人も設定。同課は「ながら防犯は、こうした犯罪に巻き込まれそうな人を見極め、保護につなげる役目も担っている」と話す。

参加者からは「実際にできるか分からないが、今回やってみたことを思い出してとりあえずやってみたい(60代女性)」「防犯パトロールというと難しい気がしたが、“ながら”なら、私もできるのではないかと思えた。子供にとってよりよい地域となるよう、ながら防犯に取り組んでみようと思う(30代女性)」「日頃から防犯を意識しながら行動するように心がけたい(60代男性)」などの意見が寄せられた。
県内の防犯ボランティア団体数は直近6年間は横ばいで推移しているが、団体に所属する人数は2015年の約3万2千人から10年間減り続け、24年は約1万6千人と半減している。この傾向に、佐賀市や武雄市、多久市など県内数カ所でながら防犯を展開している「パトランSAGA」の代表吉冨敦思さんは「少子高齢化により防犯ボランティア専門に動ける世代が少なくなっているのは確か」と厳しい表情で語る。「それでも、こうした日常生活や趣味の延長戦上でできるながら防犯についてもっと目を向けて、気軽に地域の安全安心につながるの絶好の機会だというのを知ってほしい」と、ながら防犯に参加する意義を強調した。

同課安全・安心まちづくり推進室の青栁敏之室長は「これまでも地域の治安維持に大きな役割を果たしてきた防犯ボランティア団体や構成員が減少傾向にある中、地域住民の方々の『地域の安全は自分たちで守る』という強い思いと行動が、安全安心な佐賀県の実現に繋がるものと考えております。そのための第一歩として、皆さんもながら防犯を始めましょう」と一人でも多くの県民の参加を願っている。

交通TOPICS
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佐賀県警察は、スマートフォンによる佐賀県のアプリ「防災ネットあんあん」の利用を呼びかけている。
防災ネットあんあんは、佐賀県が運営する防災・安全安心情報配信アプリ。大雨や地震、火災など各種防災情報を配信するほか、子どもへの声掛け事案や不審人物の出没、子どもに対する犯罪の前兆に関する情報、迷い子(人)情報など防犯や交通安全に関する情報を配信している。配信される情報は、住居の地域や目的に合わせて選択ができる。
県警察本部生活安全企画課は「防犯情報は新聞やテレビでも手に入る事ができるが、迅速性と確実性を兼ね備えた防災ネットあんあんも登録してほしい」とアプリの登録を勧めている。
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