高い知名度で 防犯活動後押し
大手ハンバーガーショップ「日本マクドナルド」のフランチャイジー・昭和フード株式会社(本社・佐賀市)はここ数年、犯罪防止の啓発活動を佐賀県警察とともに積極的に推し進めている。顧客層の主軸となる高校・大学生ら若い世代や小さな子どもがいるファミリー層に絶大な知名度を誇る外食ブランドの特性を生かし、県警察との歩みを合わせながら地域防犯に努める昭和フードの取り組みを紹介する。

副賞はハンバーガー1年分
「いろんな詐欺が手を替え品を替え、佐賀の人たちにも被害が及んでいるニュースを聞くと、本当に心が痛む」。少し渋い表情をする昭和フード営業部長の松永宏也さん。「被害が一つでも減るなら、県警察が進める詐欺被害防止のプロジェクトに惜しみなく協力の手を差し伸べたい」と語る。
依然として県内で多発するニセ電話詐欺やSNS型投資・ロマンス詐欺の被害。県警察は、今年5月から、9つの被害防止の啓発活動を軸にした「S(詐欺)H(被害)B(防止)24プロジェクト」を進めている。そのプロジェクトの一つ、高校生と大学生によるSNS型詐欺被害防止をテーマにした動画コンテストで、昭和フードは入賞者に副賞を提供した。
最優秀賞(1点)にはマクドナルドハンバーガー1年分、優秀賞(2点)は半年分、入賞(3点)は1カ月分―。マクドナルドの主力商品を提供することで、松永さんは「マクドナルドの知名度によって、若い世代に防犯の関心を持ってもらえるなら、喜んで提供します」と声を弾ませる。
先駆けて県警察との関係構築
日本マクドナルドは、地域貢献として防犯の啓発活動を全国各地で進めている。佐賀県には直営店がないため、フランチャイズ契約を交わしている昭和フードなど2社が、2020年12月に「安全・安心に関する覚書」を県警察と交わした。九州では沖縄県に続き2番目、全国でも7番目と、昭和フードは他の地域に先駆けて県警察との協力関係を築いた。
覚書の協力事項には「犯罪被害の防止や防犯意識の向上等に向け、連携協力した各種取組を推進すること」とあり、動画コンテストの副賞提供は、覚書の趣旨に沿う。協賛の形を取り、自社製品を提供することで県警察の取り組みを後押しする。このほかに、県内15店舗を「こども110番の家」に指定するなど、防犯の要として、マクドナルドの知名度は地域に浸透し始めている。


40年分の感謝、地域防犯で
昭和フードは、この覚書の締結以前から、県警察の防犯啓発イベントには積極的に協力していた。2018年の「自転車盗られんばい!高校生鍵かけグランプリ」では、副賞や参加賞を提供し、県内のショッピングモールであった防犯イベントに人気キャラクター「ドナルド」を派遣するなど、マクドナルドのブランドを前面に出した取り組みを展開してきた。最近では独自で防犯活動を実施する店舗も現れ、マクドナルド小城店では、店員らが登校中、横断歩道を渡る児童の見守りも行った。

県内第1号となった唐津市大手口バスセンタービルにマクドナルドが出店して今年でちょうど40年。松永さんは「40年間、佐賀の地にマクドナルドがあるのは、皆さんに親しんでもらった結果。感謝を込めて、今度はわれわれから、地域防犯という形で、県民に恩返ししたい」と語った。
防犯TOPICS
内のニセ電話詐欺やSNS型投資・ロマンス詐欺
啓発動画を見て被害を防ごう!
ニセ電話詐欺やSNS型投資・ロマンス詐欺被害を防ぐため佐賀県警察本部生活安全企画課は、県警察サイト「STOP ニセ電話詐欺」の積極的な利用を呼びかけている。 「STOP ニセ電話詐欺」では、県警察が制作した「電話でのお金の話は、全て詐欺」や、佐賀県くらしの安全安心課と共同制作した「『詐欺かもしれない』をどんな時も。」「SNSの『おいし』すぎる話」などの複数の広報動画を紹介。いずれも具体的な詐欺の手口を例示しながら犯罪に注意喚起させる内容で、それぞれ15~30秒間の啓発動画が視聴できる。 また、金融機関やコンビニエンスストア向けの「かもしれない声かけで詐欺を防ごう」の広報動画も制作している。動画では「みなさんが最後のとりで」と強調し、事業者の声掛けにより、「詐欺被害は防げる」と強調している。

例示した動画を見て、
被害を防ごう!
佐賀県警察のマスコットキャラクター
ごろうくん