つるの剛士さん×山口祥義知事 波戸岬キャンプ場で特別対談 佐賀県政特集

自然、子育て 佐賀から発信

新型コロナウイルス感染症の影響により、感染拡大を防ぎながら、安心して暮らせる環境の大切さがクローズアップされました。豊かな自然が広がり、子育て支援策が充実した佐賀県は、アフターコロナ時代の新たな地方の在り方を示そうとしています。アウトドア好きとして知られ、2度の育休を取って「イクメン」の先駆けとなったタレントのつるの剛士さんと山口祥義知事が、波戸岬キャンプ場で対談。夫、そしてパパとして、自然や子育てをテーマに語り合いました。

プレミアムエリアに張ったタープの中で対談するつるのさん(左)と山口知事。木々の緑に囲まれた静かな環境で、自然や子育てについて語り合った

「OPEN-AIR佐賀」

―ここ波戸岬キャンプ場は2年前にリニューアルされて以来、県内外のアウトドア愛好家にとても人気の高いスポットです。

つるの 波戸岬からの海や島々の眺め、サンセットの美しさは格別ですね! 僕はアウトドアが大好きで、家族とよくキャンプにも出掛けますが、これだけ素晴らしい景観は日本中探してもめったにないですよ。

 しかも、周辺には戦国大名の陣跡があちらこちらに残っているんですね。キャンプしながら歴史にも触れることができるなんて、想像もしていませんでした。

知事 近隣には豊臣秀吉が築いた名護屋城跡やその博物館もあります。ここは歴史・文化とアウトドアの両方を楽しめるスポット。佐賀の奥深い魅力を感じるでしょう?

 さらにここはトイレや温水シャワーなど設備面も充実していて、女性やキャンプ初心者にもおすすめです。来年早々には全エリアにWi-Fi(ワイファイ)の通信設備も整備するので、テレワークも可能ですよ。

つるの 働きながらキャンプや釣りもできるって最高ですね。

知事 アウトドアの楽しみ多彩

―新型コロナの感染拡大を受けて、佐賀県は「OPEN-AIR(オープンエア)佐賀」と名付けたプロジェクトを進めています。

知事 アフターコロナ時代を見据えて、感染リスクの少ない屋外を中心に、観光や生活の新しいスタイルを発信しています。波戸岬はもちろん、県内各地のキャンプ場や公園、花園など多彩なアウトドアスポットの新しい楽しみ方も提案していきたいですね。

2018年にリニューアルされた波戸岬キャンプ場。海を望む抜群のロケーションが人気を呼び、利用者が急増している
―つるのさんは釣りや昆虫採集、サーフィン、将棋、アートなど多彩な趣味をお持ちです。佐賀でどんなレジャーを楽しみたいですか?

つるの 佐賀は海も山もあって、遊びの選択肢がたくさんありますよね。僕は今年、大型バイクの免許を取りました。コロナ禍の今は、3密にならないキャンプツーリングが人気ですし、未舗装の道を走るオフロードも楽しんでみたい。

知事 数年前から富士町苣木(ちやのき)地区の山間部にはマウンテンバイクコースが整備され、大会も盛り上がっています。また、吉野ヶ里町には大規模なアスレチック施設「フォレストアドベンチャー・吉野ヶ里」が今年オープンし、都市部からのお客さんも多いんですよ。コロナ禍で佐賀の自然の素晴らしさが再認識され、そのニーズが高まっているんでしょうね。

つるの 自然が子どもの感性育む

―豊かな自然を体験する「OPEN-AIR佐賀」は子育てにも役立つのでは?

つるの 家でゲーム遊びをするのもいいけれど、文明は自然の上に成り立っているんです。子どもたちが外に出て、五感をフルに使い、風の向きや季節の匂いなどを感じることも大切。自然の中で豊かな感性を育んでほしいですね。

知事 ありのままの自然の中でさまざまな体験をし、たくましく生き抜く術を学んで、骨太の子どもに成長してほしい。佐賀の穏やかな自然環境の中であればそれができるし、親たちも安心して見守っていられると思います。

つるの 今は自然災害の多い時代。アウトドアを楽しむことで、防災意識を養うこともできます。たとえば、登山やキャンプの道具には、避難にも活用できるアイテムがそろっています。わが家はそれらをリュックに詰めて、玄関に常備しているんですよ。

知事 災害が起きた時は、リュック一つ持って避難できるわけですね。

つるの 自然の中には危険もたくさん潜んでいるので、遊びながら危機管理の力を養うこともできます。自然に学ぶためにも、ぜひ多くの人が佐賀に来てOPEN-AIRを体験してほしい。

 

「子育てし大県〝さが〟」

―佐賀県は「子育てし大県〝さが〟」と銘打って、出会い・結婚から妊娠・出産、子育てまでライフステージに応じた切れ目ない支援を行っています。

知事 「佐賀で子育てをしたい」と思ってもらえる環境を整えるため、新刊児童書の全点購入や中学3年生全員のピロリ菌検査など、さまざまな事業を展開しています。男性の意識改革を進め、マイナス1歳期(妻の妊娠期)から家庭参加を促すのも、大切な取り組みの一つです。

つるの それは素晴らしいですね!

知事 若い世代に育児・家事浸透

知事 こうした取り組みが少しずつ浸透してきて、積水ハウスが発表した今年の「イクメン力全国ランキング」では佐賀県が1位になりました。特に20~30代の妻が夫をイクメンだと思う割合が高く、今まさに育児中の若い世代に評価してもらえたことは喜ばしいことです。

つるの 「イクメン」を当たり前に

つるの 僕は10年前の第4子の出産の時と、4年前の第5子の時に育児休業を取りました。そこで初めて、ママたちの大変さや気持ちが理解できるようになりましたね。

 ただ、僕がイクメンと言われることには違和感がありました。男性の育児参加が当たり前になって、イクメンという言葉がなくなればいいと思っているんです。

知事 私も15年前に育休を取りましたが、決して〝休暇〟ではないと思い知りました。寝る間もなく、弁当づくりや送迎、掃除洗濯に追われましたから。育児は仕事を休んですることではなく、普段から夫婦2人で協力して取り組むことだと気付かされたことは、本当に良かったと思います。

つるの 育休を経験したから、ママたちがカフェでおしゃべりしたり、インスタグラムにお弁当の写真をアップしたりする気持ちがよく分かります。僕も育休中は、誰かに頑張りを分かってもらいたくて、自作のお弁当の写真をインスタに上げましたから(笑)。妻にとっても、家庭の中に理解者が1人増えたことは心強かったと思いますよ。

知事 妻は無数の〝名もなき家事〟に追われているのに、夫は未知の領域なだけにその苦労を理解できず、衝突が起きてしまう。そのギャップを埋めるには、やはり男性も育児・家事に積極的に取り組んだ方がいい。

―どうすれば男性の育児休業や家庭参加がもっと広がると思いますか?

つるの 育児休業ではなく、男性の「家庭訓練」と呼ぶことにしてはどうでしょう? 夫が家事スキルを身に付けて、妻の気持ちを理解するための訓練期間にするのです。会社の上司に「休暇を取りたい」とは言い出しにくいかもしれませんが、「家庭訓練、頑張ってきます!」なら堂々と言えそうですよね。

知事 職場でも「休みを取る」ではなく、研修に送り出すような雰囲気になればいい。いろんなことを学び、考え、工夫しながら育児・家事に取り組む経験は、きっと仕事にも生かされるし、会社にとってもプラスに働きますよね。一方で、「子育ては大切だけど、たまには解放されたい」というママたちの声も根強くあります。

つるの わが家では、僕の仕事が休みの日を、妻の〝オフ・デー(休日)〟にしています。「家のことは僕がやっておくから、お友達と温泉にでも行ってきなよ」と言って。妻が充実した休日を過ごして笑顔になったら、夫婦円満になって、仕事にも気持ちよく行ける。やっぱり家庭が基盤だから、そこは大切にしたい。

知事 両親が仲良く毎日を楽しんでいたら、子どもたちにもいい影響を与えますよね。

 佐賀県の子育て支援は、「子育てしたいと思わせて」という女性たちの声から生まれました。例えば、病児保育・病後児保育の支援など、これからも多くのママやパパたちの思いに寄り添い、施策に反映させていきたいと思います。

―つるのさんは今年から短期大学に入学し、保育士の勉強をしているそうですね。

つるの 僕は今年で45歳。人生100年時代の折り返し地点が近づいてきました。これまで子どもに関わる仕事に多く携わったし、趣味を通してさまざまな分野の専門家とも出会いました。こうした経験や人とのつながりを生かして、子育てに貢献ができないかと考えたんです。たとえば「OPEN-AIR佐賀」のように、自然豊かな場所で楽しんで学べる場所づくりができないかと。短大で学んでいるのも、このビジョンを具体化するための専門知識を得るためなんです。

知事 子どもたちが自由にのびのび活動しながら、自分の個性や可能性を伸ばせる場所があるといいですよね。

つるの いつかこの目標がかなったら、僕のふるさとである九州にも広げていきたい。今日の対談のおかげで佐賀の魅力にも触れたので、これからプライベートでもたびたび訪ねたいと思います。

知事 つるのさんのお話をうかがって、佐賀が今後ますます成長する可能性を感じました。コロナ禍において、理想を形にしていく構想力や創造力、人とつながる団結力が今まで以上に求められます。私たちもさまざまなプロジェクトを通して新たなフィールドを切り拓(ひら)き、より魅力的な県にしていきたいと思います。

つるの・たけし 1975年、福岡県北九州市生まれ。神奈川県藤沢市在住。「ウルトラマンダイナ」のアスカ隊員役で注目され、アイドルグループ「羞恥心」でリーダーに。タレント活動のほか、カバーアルバム「つるのうた」シリーズなど音楽でも活躍している。2男3女の父親。将棋、釣り、バイクなど多彩な趣味でも知られる。