バルーンフェスタ

 新型コロナウイルスの感染防止のため、11月2~4日の曳山巡行を取りやめることに。200年の歴史の中で曳山巡行が中止になるのは初めて。3日の神事だけは執り行う。

 月下、唐津くんちの囃子の音が響く。10月に入れば本来、日が短くなり冷え込みとともに、唐津市中心街にある14カ町のあちこちから聞こえてくるはずの囃子は、今年は、町もまばら、練習日もまばら。異例の寂しい秋を迎えている。

 それでも、わずかな時の臨場感、高揚感を求めて、笛を吹き、鐘を鳴らし、太鼓を打つ。「波動がいいんですよ」と商店街の一人が言う。軽快に鳴り響く太鼓の音が、心地よい振動となって「まつり」を肌で感じさせる。本番なき練習であっても、子どもたちの真剣なまなざしには、来年、まちなかを走る曳山の姿が見えているのかもしれない。

 この秋、唐津神社の例大祭は規模を縮小して神事のみとなる。まちに曳山の姿を見ることはできないが、いつもとは違う時間の流れによって見えてくるものもある。暮らしに深く根差したくんちであり、曳山が「磁場」となって醸成するまちの一体感に改めて気付く。

 途絶えることがなかった200年から、201年目は感染症との闘いで立ち止まり、曳山巡行が中止となった歴史を刻む。少しでもくんちの雰囲気を味わってもらおうと、佐賀新聞も紙面やアーカイブ写真展で思いを伝える。

 唐津っ子が経験したことのない3日間。それぞれのくんちを想おもいながら、新たな一歩を踏み出し、「エンヤ、エンヤ」の掛け声を待つ。(佐賀新聞社唐津支社長 辻村圭介)

曳山紹介