有明抄
分かったような気持ち
ひとの身の上話や悩みごとを聞いて、「分かる、分かる」と相づちを打つことがある。相手の抱えているものが重ければ重いほど、語気を強めて。
谷口緑さんをしのぶ
漢詩をあしらった久留米絣(がすり)のドレス「蘭亭」や数々のトロフィーはデザイナーとしての輝かしい実績を伝える。一方で、「緑ドレメ」の愛称で親しまれた「緑ドレスメーカー服飾専門学校」の創設者としても知られる。
何をのこすか…
昭和の二枚目スター長谷川一夫は晩年、40年近く連れ添った妻に先立たれた。
不老不死の手段
秦の始皇帝の命を受け、「不老不死」の薬を探して旅に出たとされる徐福は、佐賀をはじめ各地に伝説を残す。それから約2200年。
万博をどう読むか
若い夫婦が幼子2人と老いた父を連れて新天地をめざす。山田洋次監督の映画『家族』である。
学ぶ意義
公開中の映画「35年目のラブレター」は貧しい家庭に生まれ、小学校を卒業しなかった男性が主人公。彼は退職後、60代で夜間中学校に通い始める◆読み書きは勉学の基礎。学ばなければ漢字もひらがなもただの記号にすぎない。
動物にたとえれば
19世紀末のドイツで、ハンスという馬が話題をさらった。飼い主が算数の問題を出すと、ひづめを地面に打ちつけて見事に答えを当てる。
迷えるヒツジ
中国の故事にある。隣人が「若い者を貸してくだされ」と駆け込んできた。聞けば、羊が1匹逃げ出したという。逃げた方向は分かれ道ばかり。手分けして追わなければ間に合わない。
トランプ関税
今年の流行語大賞はこれで決まりかも。最近のニュースにそう思う。「トランプ関税」である。
子どもの天国
〈日本を旅行すると、先ずどこでも子供がいることに気づく〉。明治初めに来日した米国の動物学者モースは書いている。朝6時半から学校へ向かう子、親の仕事を手伝う子、子守をする子…。
ゴレンジャー
ウルトラマン、仮面ライダー、ミラーマン…。小学生の頃、悪と戦うヒーローがきら星のごとくテレビに登場した。その中で好きだった番組の一つが「ゴレンジャー」だ。
老いのかたち
人の心は不思議なものである。寝たきりの90代の女性に、研究者が枕元で質問した。「今、健康だと思いますか?」。答えは「元気だよ」。起き上がることもできず、状態がいいようには見えないのに。
韓国大統領の罷免に思う
世の中にはたくさんの種類の「力」がある。その中で厄介と思う力が「権力」だ。体力や筋力は自分で育てられるが、権力は簡単には手に入らない。
あんぱんが教えること
ちょうど150年前の4月4日。明治天皇と皇后の花見の席に、新趣向の茶菓子が献上された。それが、あんぱん。だからきょうは「あんぱんの日」◆時は流れて昭和44(1969)年、ちょっと変わった大人向けの童話が雑誌に載った。
ほんとうの理由は…
とても喜ばしいことを社交辞令で「慶賀に堪えない」という。大正7(1918)年8月、神戸の商社・鈴木商店が焼き討ちされた。直後、会社に電報が届いた。「ケイガニタヘズ」。
地名の表記
テレビで時々、聞き慣れないカタカナを耳にする。
開花の時季
桜がほころび始めたと思ったら、もう盛りを迎えている。各地から届く開花の便りも、関東以西は一斉に咲きそろった印象がある。
毎日がスタートライン
高校時代、同級生が「パンチDEデート」というテレビ番組に出た。振り返ればその勇気と行動力は若さが生み出したのだと思うが、大学時代の同学年の下宿仲間が今年2月、NHKの「のど自慢」に出場した。
呪文の効用
江戸のむかし、出店でにぎわう土手の通りで、武士と修験者がけんかを始めた。武士が刀を抜こうとすると、修験者が何やら呪文を唱える。
必要な土地の広さ
トルストイに『人にはどれほどの土地がいるか』という短編小説がある。主人公は農民の男。彼は広い土地を探し、ある村を訪れる。素朴で親切な村人たちは彼に、一日歩き回って囲んだ分だけの土地を安価で売ると申し出た。
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