プルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料を発電に使う「プルサーマル」を実施している九州電力玄海原発3号機(東松浦郡玄海町)で、初めて使用済みMOX燃料が発生する見通しだ。12月までの定期検査で生じるとみられているが、具体的な搬出先や処分方法は決まっておらず、原発での長期貯蔵に対する佐賀県民の懸念が強まる可能性がある。県は国に処分方法などの早期の検討を促すとともに、九電にも県民の不安を払拭(ふっしょく)する説明を求めるなど、明確なメッセージを発信すべきだ。

 3号機は2009年12月、商業用で国内初のプルサーマルを開始した。原子炉には最大でMOX燃料48体を装填(そうてん)することができるが、現在は36体を使っている。最初に装填した16体が交換の目安になる3サイクル(1サイクル=16カ月)の運転を終え、九電はこれについて「使用済みMOXが発生する見込み」と説明している。プルサーマルは現在、四国電力伊方原発(愛媛県)と関西電力高浜原発(福井県)で実施され、既に伊方3号機から16体、高浜3号機からは8体の使用済みMOXを取り出している。

 使用済み核燃料はこれまで、青森県六カ所村に日本原燃が整備している再処理工場へ計画的に搬出されてきたが、使用済みMOXはそれができない。搬出するには六カ所村の工場とは別の「第2再処理工場」が必要になる。ここで六カ所村の工場の処理量を上回る使用済み核燃料や、六カ所村では処理できない使用済みMOXを受け入れることになっているが、建設地や処理方法は決まっていない。

 核燃料サイクル政策では使用済みMOXも再処理する計画だ。原子力委員会が05年に策定した原子力政策大綱には「10年ごろから検討を開始」と明記されていた。しかし、11年3月に東日本大震災と東京電力福島第1原発事故が発生し、計画は事実上ストップした。

 国は現在も再処理の方針を堅持し、資源エネルギー庁は20年度も約7億円の予算を組んで技術の研究開発を進めているが、第2再処理工場の建設の議論を具体的に進める研究会などは発足していない。行き先のない使用済みMOXは、かなりの長期間にわたって各地の原発の敷地内に留め置かれる可能性がある。

 こうした状況を受け、原発立地県は声を上げている。高浜原発がある福井県は20年1月の取り出しに合わせ、杉本達治知事名で「使用済みMOX燃料の処理・処分について、技術的な検討・研究開発を加速し、その具体的な方策を明らかにすること」とする要請書を当時の経済産業相に提出した。伊方原発がある愛媛県の中村時広知事も「MOX燃料を含めた使用済み燃料対策の着実な推進を要請したい」とコメントしている。

 使用済み核燃料に関して佐賀県は、貯蔵容量を増やす「リラッキング」の工事を事前了解する際、小林万里子副知事が「永久に保管されるのではないかという不安の声もあり、積極的な情報公開と、分かりやすい県民への説明を」と九電に求めた。

 通常の使用済み核燃料以上に先行きが不透明な使用済みMOXについて県は、処分方法が決まっていないことへの懸念や、安全性に疑問を抱いている県民への説明を、国や九電にしっかりと求める姿勢が必要だろう。山口祥義知事や県議会がどのように対応するのか注視したい。(林大介)

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