来春に卒業する大学生らを対象にした会社説明会が3月1日に解禁され、就職活動が本格的に始まる。経済活動が持ち直して人手不足となる中、昨年に続き学生優位の「売り手市場」が継続するとみられる。就活解禁を控えた27日、佐賀県内では企業研究セミナーや交流会が開かれ、企業側が学生に自社の強みをアピールした。
「ウィズコロナ」の対応が進んで経済活動が活発になる中、全国的に人手不足が深刻化。企業の採用意欲の高まりを受け、佐賀大は企業と学生が参加する「合同企業・業界研究セミナー」を、前年より2カ月ほど前倒しして昨年11月から始めた。
就活解禁を前にした27日も開かれ、参加した県内のある製造業は「学生もアルバイトなど予定がある。参加しやすいように今年からインターンシップを丸1日から午後だけの開催に変えた」と、売り手市場を意識し、学生の応募につなげようと環境を整える。
自社の技術を採用活動に生かす取り組みもみられる。IT企業の木村情報技術(佐賀市)は同日、全国の学生と佐賀県や県内企業が、インターネット上の仮想空間「メタバース」でやりとりする体験交流会を開いた。自身の分身である「アバター」を自作して参加し、企業紹介や企業ごとの部屋で学生と対話が行われた。
「アバターを通して気軽に話すことができた」(佐賀大理工学部1年)などと学生側の感触が良かったことから、木村情報技術は3月から始める企業説明会にもメタバースを活用予定という。
一方、学生について、佐賀大の羽石寛志キャリアセンター長は「売り手市場で、動き出しが遅いようだ。企業情報も多く手に入り、在宅勤務など働き方も多様化して選択肢が増えたこともあり、キャリアデザインが描きにくくなっている」と分析する。研究セミナーに参加した経済学部3年の男子学生(21)は「まだ自分に合う企業を探している段階。年内に内定を得られれば」と話した。(古賀真理子、志波知佳)