まだまだ寒さの厳しい日もありますが、これからは、ひと雨ごとに寒さが緩み、次第に春を感じる日が多くなりそうです。2月下旬から3月上旬にかけて降る雨のことを「木の芽雨」と呼び、地方によっては「木の芽起こし」や「木の芽萌やし」と呼ばれています。私がかつて赴任したことがある鹿児島では、地元の方々とのあいさつや会話の中に「木の芽流し」が何度か出てきました。聞けば、ちょうど今頃の雨を指すのだそう。

 いずれの呼び方も、冬の間に身を固くして寒さに耐えてきた木の芽を、やさしい雨が包み、芽吹きをうながす情景が思い浮かびます。また、この雨が植物を芽吹かせる大切な雨であるという教えを、代々受け継いでいるという気がしてなりません。

 木の芽雨の時期を過ぎると、次は「菜種梅雨」の季節へ。菜の花が咲く3月中頃から4月にかけて、日本の南岸沿いに前線が停滞して梅雨どきのようなぐずついた天気のことを表し、春の長雨の代名詞として広く知られています。

 今後、日々の天気予報で、春に関する話題が増えていくでしょう。その一方で、春先は天気が短い周期で変わりやすく、気温の変化が大きいため、とかく体調を崩しやすい時期でもあります。また、発達した低気圧の影響で、春の嵐に見舞われることに注意が必要です。天気予報を上手に利用して、体調管理と身の回りの防災対策を行いましょう。