5~9月に1センチほどの黄色い花を咲かせるカタバミは、全国の草原や道端で見かけることができます。葉はハート型で3枚付いており、夜になると閉じて一方が見えなくなります。それが食われて失われたようだということから傍食(かたばみ)という和名がつきました。

 生薬名は酢槳草(さくしょうそう)といい、全草をすり潰して虫刺されや寄生性皮膚病などに使用します。葉にはシュウ酸が含まれているため、摂りすぎると害がありますが、取り除けば食用になるため救荒食(きゅうこうしょく)として用いられることもありました。

 花のあとには先が尖(とが)った円柱状の果実ができ、これが成熟すると約1・5ミリの種子が中からたくさんはじけ出ます。その飛距離は約2メートルもあり、自らの力だけで巧みに繁殖することができるたくましい植物です。(中冨記念くすり博物館)