初当選を決め、支援者から記念の花束を受け取る向門慶人氏(右)=19日午後10時27分、鳥栖市神辺町の事務所(撮影・山田宏一郎)

鳥栖市長選で初当選し、万歳三唱する向門慶人氏(中央)=19日夜、鳥栖市

 任期満了に伴う鳥栖市長選は19日に投開票され、自民党推薦の新人で元県議の向門慶人氏(52)=古賀町=が1万2971票を獲得、5選を目指した橋本康志氏(67)=本町=を702票差で上回り、新人で町区長の豊増直文氏(64)=幸津町=も退けて初当選を果たした。「現市政は鳥栖の潜在能力を生かし切れていない」として“チェンジ”を訴え、現職の厚い壁を破った。投票率は44・44%で、最も低かった2019年の前回選挙より0・14ポイント低く、過去最低を更新した。任期は3月15日から4年間。

 向門氏は19日午後10時15分過ぎ、神辺町の事務所で支持者とともに喜びを爆発させた。「選挙期間中、『鳥栖市を頼む』と多くの市民に言われた。新しい鳥栖、魅力ある鳥栖をつくっていかなければならない」と力を込めた。

 選挙戦は鳥栖駅周辺整備や産業用地・宅地開発による市の発展策などが争点となった。向門氏は県議4期の実績を生かして政策案を示し、「鳥栖のまちづくりは、鳥栖市が主体的に決めなければ進まない」と主張。過去の市長選での対応を巡って一部の自民党関係者の間に残るしこりで足元の票固めに苦戦したものの、5選を狙う現職の多選批判票を取り込んだ。

 自民推薦候補を過去4回破った橋本氏は、企業誘致など4期の実績をアピールし「懸案の鳥栖駅周辺整備の方向付けをしたい」と主張。後援会や女性組織も活発に動いたが、市政刷新を求める声をはね返せなかった。

 豊増氏は農業政策や給食費無料化など独自の施策を訴えたが、及ばなかった。

 当日有権者数は5万8989人(男性2万8143人、女性3万846人)。期日前投票者数は前回選挙より2111人(30・9%増)多い8946人だった。(樋渡光憲)