「感動でぞくっとした」―。待望の大歓声が18日、「駅スタ」に帰ってきた。全面的な声出し応援が3年ぶりに解禁されたサッカー・J1サガン鳥栖の今季開幕戦。「完敗」とも言える試合結果にも、「スコア以上の内容はあった」と前向きに捉え、次戦からの巻き返しを期待した。
新型コロナウイルスの感染拡大防止で制限されていた声出し応援が、マスク着用の下で全面解禁された。3年間の“ブランク”のせいか、キックオフ前になってもスタンドの声援は控えめだったが、鳥栖市の佐藤博文さん(55)は「試合が始まれば自然と出るんじゃないか」。徐々に声が高まり、佐賀市の山田美和さん(56)は「チャント(応援歌)を聞いて、やっと日常に戻ったと感じた。泣きそうになった」と感慨に浸った。
試合中、スタジアムはたびたび大歓声に包まれた。前半、鳥栖は小野裕二選手の奪った1点の他に3回、相手のゴールネットを揺らした。ところがビデオ審査などで、ことごとくノーゴールの判定。湧き上がった歓声があっという間にため息に変わる展開が続き、1―3で折り返した。
福岡市の行武裕喜さん(22)は「VAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)のたびに流れが止まり、声を出す雰囲気になりきれない」ともどかしさを訴えた。
ただ後半も点差はさらに広がる。雨脚も強まり、スタンドは重苦しい雰囲気に。試合終了を待たずに席を立つ観客の姿も目立った。
佐賀市の伊佐颯馬さん(14)は「パスミスが目立つ悔しい試合。もっと連係が活発にならないと」と課題を指摘しつつ、長沼洋一選手や岩崎悠人選手を例に「個々の力は感じた」。原田太司さん(31)=鹿児島市=は「声援は特に前半、選手を後押しする雰囲気があり良かった」と振り返り、試合についても「チャンスはつくれていたので、スコアほど悲観的じゃない。早く勝ちが欲しい」と話した。(志垣直哉)