14日のバレンタインデーに向けて、県内の大型商業施設などでは商戦が始まった。近年は、相手に愛や感謝を込めて贈るだけでなく、自分への「ご褒美」として高価格帯の商品を購入する人が増えている。各店は高級感や目新しさで購買意欲を刺激し、売り上げを順調に伸ばしている。物価高による「買い控え」は見られないようだ。
ゆめタウン佐賀(佐賀市)は1月13日から、中央セントラルコートなどの2カ所にチョコレートを販売する会場を特設した。千アイテムを超える商品をそろえ、価格も百円台から2千円台までと幅広い。
ハート型やカラフルにデコレーションされたチョコレートが並び、高級感のある大人向けや和菓子風、ポーチや缶入りのアフターユースができる商品など多彩だ。キャラクターのぬいぐるみや酒、男性向けのパックなどの美容アイテムも並び、人気キャラ「ちいかわ」とのコラボ商品は1週間足らずで売り切れた。
担当者は「イベントとして楽しむ方も多く、初日は限定品目当てに人が押し寄せた」と話す。売り上げは前年比3~4割増で推移し「新型コロナ前を上回るのでは」と期待を寄せる。
佐賀玉屋(同市)は1月25日から特設会場を開いた。初日は雪が降ったものの「予想以上に来店が多く限定品がよく動いた」と担当者。1人当たり7千~8千円の購入額で、物価高による買い控えを感じさせない。
前回は会場を2カ所設けたが、今年は本館地階のワンフロアのみ。「相手に合わせて商品を選べるようチョコレート以外も提案したい」と、同じ地階で販売している酒や和菓子などもセットで薦める。新型コロナの行動制限の緩和で友人らとの集まりも再開しており「義理チョコの需要が戻っている」という。
品定めをしていた60代女性は「孫と娘に贈る」、50代の主婦は「いつもと違う商品が並ぶので、自分用に見に来た」と笑顔で話した。各店、ピークはバレンタインデー直前の11~13日と予想しており「この時期だけのイベントとして楽しんで」と来店を呼びかける。(志波知佳)