「島を訪れるきっかけをつくりたい」と話す井川えりなさん=唐津市鎮西町加唐島

島の野菜とツバキ油を使った「島椿ピザ」。手作りのカウンターで味わえる=唐津市鎮西町加唐島

コーヒーの生豆を焙煎する井川えりなさん=唐津市鎮西町加唐島

島で採れた野菜とツバキ油を使った「島椿ピザ」(右)と具だくさんの「島野菜ポトフ」

 唐津市の離島・加唐島に、カフェが開設されている。島にゆかりのある井川えりなさん(24)、真太郎さん(20)のきょうだいが島民の協力を得ながら一からつくり上げ、切り盛りしている。えりなさんは「島を訪れるきっかけの場所になりたい」と抱負を語る。

 2人は福岡市出身。母親の実家が加唐島で、正月や盆に訪れていた。体が弱かった真太郎さんは、小中学生を受け入れる「島留学」で祖母と中学最後の1年間を島で暮らした。環境を変えたことで体力は回復、無欠席で卒業するなど心身共に成長した。現在は航海士をしている。

 えりなさんは島を訪れる人に店を尋ねられ、自動販売機を案内しているうちに「釣りと猫以外のことでも島を知ってもらいたい」との思いを強くした。真太郎さんの「島に恩返しがしたい」との思いも重なった。

 アクセサリーや家具などの制作、販売が本業のえりなさんは、コロナ禍に島への滞在を決断。畳をフローリングに変えるなど、改装作業には島民が協力した。資金調達するクラウドファンディングには100万円超の支援金が集まった。

 具だくさんの野菜にツバキから絞った油をかけたピザなど、島で採れた野菜や魚を取り入れたメニューがそろう。島の木で手作りしたカウンターに座ると、目の前に広がる絶景とともに味わえる。コーヒーは島をイメージしてブレンドした豆を焙煎(ばいせん)している。えりなさんは「島にゆかりがある人から『あなたのおかげで来るきっかけができた』と言われたときはうれしかった」と話す。

 市内の呼子港から加唐島への定期船がある。金、土、日曜、祝日の営業で、午前9時から午後4時半まで。1日20人限定で、ピザは事前予約が必要。予約や問い合わせは公式LINE(ライン)などで受け付けている。(松岡蒼大)

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