スマートフォンやパソコンを使う機会が増え、若者だけでなく、中高年でもストレートネック(頸椎症)が問題になっています。

 原因は、うつむき姿勢が増え、頭を支える首の負担が大きくなっていることです。頭(5キロ)を30度傾けるだけで18キロ、45度傾ければ22キロの負荷がかかります。症状は首や肩のコリが背中や腰へと広がり、放置すると腕や手のしびれ、冷え、頭痛、疲れ目、吐き気、めまいがみられます。肺が圧迫され呼吸も浅くなり、慢性的なだるさを覚えます。

 背骨の延長線上に頭がくるように姿勢を正し、首周りのストレッチを行うことで改善できます。早めに整形外科を受診し、適切な対処法の指導を受けましょう。

 ストレートネックは、男性よりも女性に多くみられます。首が細く、筋肉量が少ないのが原因です。産後は、授乳、搾乳、おむつ交換、もく浴、抱っこなど、長時間うつむき姿勢をとる必要があり、ストレートネックのリスクが高まります。無理な姿勢での授乳は、疲れやすいだけでなく、赤ちゃんが上手におっぱいを飲めないことで乳房が傷つき、乳腺炎になることがあります。片手で搾乳しながら、他方の手で母乳をこぼさないように容器に受けるのも大変です。床や畳の上でのおむつ交換では、汚れをふき取るために深く頭を下げなければなりません。もく浴では、すべり落とさないかと、赤ちゃんから目を離すことができません。うつむき、猫背、反り腰など母親の不自然な姿勢での抱っこは、赤ちゃんもきつそうです。うつむき姿勢が長く続くと自律神経系のバランスが崩れ、うつ状態を生じることもあります。産後うつ病の予防に姿勢改善を加えるとよいかもしれません。

 育児姿勢を自分で判断するのはなかなか難しいものです。佐賀大学では、6カ月未満の赤ちゃんの抱っこの姿勢をチェックするアプリ開発に取り組んでいます。研究に参加し、楽な抱っこの仕方を一緒に探してみませんか。詳細はリンクより確認ください。(佐賀大学教育研究院医学域医学系=母性看護・助産学領域=教授 佐藤珠美)

 

楽なだっこ姿勢のアプリ開発に向けた研究紹介ページはこちらhttps://www.midwifery.med.saga-u.ac.jp/cuddle_study/982.html