監督作品が「2022ARFFベルリン インターナショナル アワード」で佳作に選ばれた野田尚之さん=武雄市武内町の自宅内スタジオ

 武雄市武内町の写真家・野田尚之さん(57)が監督した映画「てっぺんものがたり」が、インディペンデント(独立系)の国際映画祭「2022ARFFベルリン インターナショナル アワード」でファイナリストに選ばれ、佳作を受賞した。独立系で知名度の高い映画祭での受賞に野田さんは「世界の人たちから評価されたことが何よりうれしい」と喜んでいる。

 「てっぺんものがたり」は嬉野市の茶農家が、耕作放棄地などの課題と向き合いながら、中山間地域を存続させるために奮闘する姿を描いた作品。演劇経験のない主婦や会社員も出演し、約2年かけて製作した。20年秋から嬉野、武雄、小城市や福岡市などで試写会を開いてきた。

 野田さんは22年に入ってから、約30の映画祭にエントリーを続けた。これまでフランス、アメリカ、東京の映画祭で受賞しており、「ベルリン インターナショナル アワード」では昨年12月上旬に「クオーター・ファイナリスト」に選ばれたとの連絡があり、元日にはファイナリスト、最終的に佳作に選ばれたとのメールが届いた。

 エントリーに当たっては150分の作品を90分に短縮し、せりふを佐賀弁から標準語に直し、さらに英語字幕を付けるという膨大な作業が必要になった。野田さんは「ドキュメンタリーではないので、日本人の感性が外国人に伝わりにくいのでは」と心配していたという。

 クオーター・ファイナリストに選ばれた時点で、SNSを通じて多くの友人から「おめでとう」「すごい!」とのメッセージが寄せられていた。今後について野田さんは「次回作に取り組みたい気持ちもあるが、まずはスポンサーを探さないと」と笑顔で話した。(澤登滋)