「毎試合ステップアップしていく」。角田太輝の言葉には力がこもった。首位でシーズンを折り返し、迎えた後半戦の初戦。江北町出身の若手のホープの攻守にわたる活躍で、佐賀は幸先よく出だしを飾った。
チームの司令塔レイナルド・ガルシアを欠いたこの日。攻撃の組み立て役を担った角田太輝が見事にその穴を埋めた。普段は点取り屋として得点を目指すが、いつもとは違うポジションでも広い視野を生かした。「周りを生かす場面か自分で攻める場面かの判断は得意」と自信を見せた。
起点はいつも角田だった。一進一退の攻防が続いて迎えた第3クオーター。開始直後にサイドから3点シュートを決めるとチームは活気づいた。守っては182センチの体を目いっぱい使ったパスカットで相手の攻撃の芽を摘んだ。
試合終了まで残り約1分で1点差に迫られた場面も、冷静さを保ち続けた。ボールを失えば逆転を許しかねない場面で果敢に中央から3点シュートを放つと、ボールはリングに吸い込まれた。「心臓がはち切れそうだったが、打った瞬間に入ると確信した」とここ一番のシュートを振り返った。
若手として「守りでは厳しく、攻撃では誰よりも早く走り始め、泥臭くプレーする」と意気込む。試合のたびに成長を重ねる23歳が、チームのB1昇格を引き寄せる。(北川尊教)