市役所の倉庫に保管されている16ミリフィルム。巻き取って使うフィルムが箱に入っている=佐賀市役所

 佐賀市が、教材映像などの視聴覚ライブラリーを破棄する方向で検討している。機器のデジタル化やインターネットの普及に伴い、利用者が激減。今後の議会で設置条例の廃止を提案し、可決されれば教材や教具のほとんどを処分する方針だ。

 視聴覚ライブラリーには、16ミリフィルムやVHSテープといった教材映像と、それを視聴するためのスクリーンやプロジェクターなどの教具がある。学校などで映像を使った授業の振興を図るため、1971年に文部科学省が全国に設置を通達した。

 佐賀市は79年に設置条例を制定し、現在は教材映像約500本、教具約10機がある。教材のほとんどは、光合成の仕組みや日本史など小中学校の授業に関する内容で、市政100周年の式典や地域の催しなどを収めた映像もある。

 ただ、映写機やVHSはプロジェクターやDVDなどに進化し、インターネットも普及したことで利用件数が徐々に減少。2021年度は53件、22年度は18件(21年9月時点)で、いずれも市職員がプロジェクターなどの教具を会議で使っており、教材の学校への貸し出しはなかった。

 映像教材は現在、市役所の資材倉庫で保管している。今後の議会で設置条例を廃止する方向で検討を進めている。

 貸し出しの需要があるスクリーンやプロジェクターなどは保管し、貸し出しを続ける予定。文字や画像を拡大して投影するオーバーヘッドプロジェクター(OHP)などは処分する方針で、市社会教育課は「長い間使われていないものが多い。いつか誰かが片付けなければいけないと思っている」と話した。(草野杏実)