玄海町
バスに揺られて玄海町
昨年12月上旬の土曜日。唐津市の大手口バスセンターでバスに乗った。目的地は玄海町の玄海エネルギーパーク。普段の取材は車で行ってばかりなので、仕事を忘れてゆったりとした気持ちで窓越しの海や山の景色を眺めた。所要時間は約40分。パーク前の停留所に到着した。

「子どもたちに人気なんですよ」。館内で、中村浩史館長からスタンプラリーを勧められた。年齢的に気恥ずかしさも覚えつつ、用紙を手に各階を回った。
館内中央には、実物大の原子炉の模型がそびえ立つ。原子力発電の仕組みをクイズやゲーム形式で学ぶコーナーや地震体験のコーナーは子どもでも楽しめる。最上階の展望ルームは、玄界灘や離島、玄海原子力発電所の全景が目の前に広がる。
唐津市出身で、子どもの頃からパークには何度も訪れたことがあるが、発電所の温排水を利用した観賞用温室には初めて足を踏み入れた。熱帯植物からかわいらしい花までそろい、知識がなくても十分楽しめる。四季を通じて快適な空間になっているという。
パークの敷地内の公園では、多くの親子連れが遊具で遊ぶ姿が見られた。隣接する玄海町次世代エネルギーパーク「あすぴあ」にも足を運んだ。牛のふんからできた燃料で電気をつくる流れを学ぶボールコースターのコーナーで、子どもたちが興味深そうにボールを追いかけていた。屋内で楽しみながらエネルギーについて学び、外遊びも目いっぱい満喫できる。親子の日帰り旅にぴったりの施設と感じた。
バスに乗って次に向かったのは「浜野浦の棚田」。時間や天候、季節によってさまざまな景色を見せ、いつ訪れても風情がある。2月まで夜間にライトアップも行われている。
鎮西町、呼子町を経由し、大手口に戻ってきた頃には日が沈んでいた。バスに体を預けて玄海町や唐津市の風景を眺める。遠回りかもしれないけれど、心地よかった。(松岡蒼大 唐津支社)
玄海町次世代エネルギーパーク「あすぴあ」

午前9時~午後5時。入館無料。有料プログラムとして、燃料電池と太陽電池を載せた電動カートの乗車や「ぬりえスタンプラリー」などがある。玄海町今村4560の1。電話0955(51)3080。
玄海エネルギーパーク
午前9時~午後5時、入場無料。毎月第3月曜日(祝日の場合は翌日)、年末年始(12月29日~1月2日)は定休。1月3日は先着150人にお菓子詰め合わせをプレゼントする。玄海町今村浅湖4112の1。電話0955(52)6409。
浜野浦の棚田

「日本の棚田百選」や「恋人の聖地」に認定されている。約280枚の田んぼが海岸から駆け上がる階段のように幾重にも連なる。玄海町の観光名所の一つで、水を張った春のゴールデンウイークには大勢の観光客でにぎわう。

見慣れた景色も、座席に腰を下ろして車窓から眺めるといろんな発見があり、新鮮な気分を味わえる。「2023年版佐賀県旅ガイド」では、佐賀新聞の各エリアの担当記者が電車やバスを利用してとっておきの観光名所やグルメを紹介します!