桜に絡み付くツタを撤去する参加者=佐賀市大和町川上

桜に絡み付くツタをチェーンソーで撤去する参加者=佐賀市大和町川上

 佐賀市大和町の川上峡で23日、嘉瀬川沿いの桜の木に巻き付いたツタ類の大がかりな撤去作業が行われた。環境保護ボランティア団体「こだまの富士(さと)倶楽部」(山口勝也代表)が呼びかけ、地域の自治会や事業者、高校生らが桜の再生を願って活動した。

 約70年前に植栽されたという40本の桜は春になると咲き誇り、かつては地域の風物詩になっていたという。次第に手入れが行き届かなくなり、木の幹がツタやコケに覆われて太陽光も遮られるようになった。

 撤去作業には佐賀県有明海漁協や佐賀県造園建設業組合佐賀支部、高志館高(佐賀市)、朝日テクノ(佐賀市)などから約80名が参加し、チェーンソーやなたを使ってツタなどを取り除いた。山口代表は「廃れていく桜を見て、寂しく感じていた地域住民も多かったはず。事業者や自治会、高校生まで多くの人が賛同して集まってくれた。来年の桜の感動はひとしおだろう」と思いをはせた。

 桜がある川上地区の坂口俊明自治会長(72)は「子どもの頃は春になると道端にゴザが敷かれ、みんなで見に来ていた。桜が息を吹き返せば」と力を込める。高志館高3年の清瀬佑真さんは「コロナ禍で行事の少ない高校生活だったから、こうやって思い出をつくることができてうれしい。これからも近くを通るたびに桜を思い出すだろう」と話した。(小島発樹)