演劇家で佐賀女子短期大学准教授の青柳達也さん(47)=佐賀市=と鶴田流薩摩琵琶奏者の北原香菜子さん(39)=同=が、23日午後3時から同市赤松町の龍泰寺で朗読ライブを上演する。大阪の俳優、琵琶奏者と小泉八雲の「耳なし芳一」と内田百閒の「件(くだん)」で共演し、新たな化学反応を見せる。
イベントは青柳さんと北原さんによる「実験型朗読ライブ」の第4弾。これまで観客がアイマスクをして舞台を鑑賞する「見えない演劇」などに挑んできた。
今回は初めて俳優・ののあざみさんと錦心流薩摩琵琶奏者・荻山泊水さんを招き、俳優2人と薩摩琵琶2面で上演する。北原さんも荻山さんも、他流派との共演は初体験だという。4人は音源を送り合い、ビデオ会議システムを介して練習を重ねている。
「件」は化け物になった主人公が苦悩を語る風刺を含んだ短編で、北原さんは「鑑賞して自分の中で物語を育ててほしい“発酵作品”」と語る。「耳なし芳一」は琵琶の王道作品ともいえる怪談で、楽器の構造も奏法も異なる北原さんと荻山さんそれぞれの演奏にも注目が集まる。
青柳さんは「女声が加わり掛け合いも可能になって、表現の幅も広がった」と手応えを語り、北原さんは「皮膚から細胞に染みて、体内で何かが芽生えるような時間にしたい」と話す。
12月11日午後3時からは、高津の富亭(大阪市)でも公演する。チケットは2千円。問い合わせは薩摩琵琶かなこ堂、電話0952(62)8396。(花木芙美)