鹿島市の能古見地区にある「染織資料室」。佐賀を代表する染色家鈴田照次さん(1916~1981年)が、50代から鍋島更紗さらさの復元に挑み、65歳で世を去るまでに制作した着物やスケッチ、資料が並び、その足跡をうかがい知ることができる。

 照次さんが鍋島更紗の復元に着手したきっかけは、1959年の「鍋島更紗秘伝書・見本帖」との出合いだった。鍋島藩の御用品として伝わった鍋島更紗は、1914年に最後の職人が亡くなり、一子相伝で守られていた技法は断絶していた。