西九州新幹線嬉野温泉駅開業に向け、おもてなしを考えるシンポジウムが7日、嬉野市の和多屋別荘で開かれた。観光業界の第一線で活躍するパネリストらが、新幹線開業効果を地域に生かす方法をアドバイスした。
シンポジウムは市が主催。スイス在住で「観光立国の正体」の著者で国が選定する「観光カリスマ」の山田桂一郎さん、和歌山大観光学部の出口竜也教授、同市出身で起業家コーディネーターの三根早苗さんの3人が登壇し、村上大祐市長がコーディネーターを務めた。
三根さんは、在住地の関西でのPRイベントを通じて「泉質やお茶のおいしさを知ってもらうことが、嬉野温泉への誘客にもつながっており、アクセス向上は後押しになる」と指摘した。出口教授は「新幹線は関西圏からも観光客を集めるきっかけになる。まずは地元の人たちが嬉野の良さを再発見して、地元の食材を使うなど、地域内で観光客がお金を落とす仕組みを考えて」と助言した。
山田さんは「駅の乗降客数や観光客数ではなく、どれだけ稼いだかに着目してほしい。安売りではなく、適正な価格で適正な規模の観光地を目指し、本質的な価値を踏み外さないでほしい」と述べた。
村上市長は「新幹線開業の効果は長期的には、訪れた人に満足してもらえるかにかかっている。市民がおもてなしの心を共有していきたい」と話した。
市は、観光客への対応法や観光情報などをまとめた「おもてなしハンドブック」を製作し、市民に配布する。(山口源貴)