石倉篭の石を戻し、前日に捕獲したウナギを流し込む様子=福岡県柳川市稲荷町の掘割

 前回、福岡県柳川市で行われた「石倉篭(かご)調査」を紹介したところ、「こんな漁があるのか」という感想をもらった。実は「石倉篭」は大手ゼネコンが企画して九州大などの協力によって開発した工業製品で、フタバコーケン(静岡市)が粕谷製網(長崎県諫早市)の漁網に使う高耐久SKTネットを使って製造した。

 伝統的ウナギ漁では「○○石倉」とか「○○塚」、「○○石」と呼ばれている。川底に穴を掘って石を積み上げ、ウナギや他の生き物の隠れ処(が)にし、たまたま隠れているウナギを捕獲する仕組みを調査にも使えるようにしたのである。

 2014年にニホンウナギが絶滅危惧1B類に指定され、養鰻(ようまん)が盛んな鹿児島県や宮崎県、静岡県などの内水面漁業協同組合は危機感を募らせた。ウナギ資源を保護しなければと、九州大の望岡典隆先生の協力で河口域(汽水域)の護岸の脇に設置することにした。

 ほとんどがコンクリート護岸で、ウナギなどの隠れ処がないため13年から水産庁が設置を助成するようになり、取り組む県が増えた。絶滅危惧1A類になるとランクが上がり、場合によってはワシントン条約でウナギの捕獲と売買が禁止されるからである。