セーリング世界選手権で銅メダルをつかんだ市橋愛生(左)と後藤凛子組=オランダのハーグ(佐賀県ヨット連盟提供)

 19歳以下の各国代表が集まる「ユースセーリング世界選手権大会」(オランダ)の29er級女子で、唐津市の早稲田佐賀高3年の市橋愛生と横浜市立南高3年の後藤凛子ペアが3位となった。日本人女子のメダル獲得は初めて。中盤のレースで最下位となったものの持ち直し、持ち味のスピードを生かして快挙をつかんだ。

 大会は五輪への登竜門とされ、昨年の東京五輪に出場した岡田奎樹も唐津西高時代に5位になったほか、日本人男子はこれまでに3度メダルを獲得している。

 同部門には23カ国が出場、10~14日に12レースを展開した。スキッパーの市橋とクルーの後藤組は潮の流れをうまく使い、序盤からトップ集団に。終了時点は2点差の4位だったが、3位の香港チームにルール違反があり、繰り上げでメダルを獲得した。

 市橋は中学まで福岡市のクラブチームで活動。早稲田佐賀高への進学を機に、玄海セーリングクラブに所属している。後藤とコンビを組んだのは昨春からだが、ジュニア時代から海外遠征をともにしていた。前回のオマーン大会は17位。拠点が九州と関東で離れており、週末や強化合宿などで集中して練習してきた。

 市橋は「スタートの成功で持ち味を生かすことができた」と振り返り、後藤は「最後まで気が抜けないメダル争いで、すべてが貴重な経験だった」と話した。

 指導にあたる佐賀県ヨット連盟の中山英弘ヘッドコーチは「期待はしていたが、ここまで成績が伸びるとは思わなかった。二人とも前向きで精神力の強さがある」と喜び、「風を読むのが得意な市橋と筋力のある後藤。コンビネーションは非常に良い」とたたえた。

 二人は29日からスペインで開かれる「29er世界選手権」にも出場する。市橋は「この経験を生かし、良い成績を残せるよう練習したい」と意気込む。(横田千晶)