全国知事会の新型コロナウイルス対策本部は12日、感染「第7波」が始まった可能性があるのを受け、国への緊急提言をまとめた。新たな変異株の特徴に合わせ、従来の対策を見直す必要性を強調し、無料PCR検査の拡充などを求める内容。感染対策と社会経済活動の両立へ、観光産業への支援も要請した。近く関係省庁に提出する。
会長の平井伸治鳥取県知事はオンラインで開いた会合で「第7波は来ている。経済も回さなければならず、国に新しい対策を考えてもらう必要がある」と危機感を表明した。
提言は、オミクロン株の派生型で感染力が強いとされる「BA・5」への置き換わりを受け、無料PCR検査の対象に旅行者らを加えるよう要望した。まん延防止等重点措置や緊急事態宣言を巡っては、飲食店に時短要請などの営業規制をかけるかどうか、都道府県ごとに判断できる仕組みにすべきだと訴えた。
会合には40都道府県の知事が出席した。佐賀県の山口祥義知事は県内でも置き換わりが進むオミクロン株の派生型「BA・5」について「感染者数が激増するが、症状は重くない。これまでと全く違う」との現場感覚に言及した。政府に対しては「BA・5の特徴、これまでの変異株との違いについて科学的に説明し、国として今度の敵にどう立ち向かうのか、しっかり示してほしい」と訴えた。
12日の県内の1日当たりの感染者数が過去最高の1205人になったことに触れ「感染者数が増えると(社会生活を支える)エッセンシャルワーカーが仕事をできなくなるのが怖い。そこへの対応が大切になると思う」とした。
広島県の湯崎英彦知事は「今月下旬には過去最大の感染者数になるかもしれない」と指摘した。
提言は国が実施予定の全国旅行支援にも言及し、夏休みの旅行需要を取り込める時期に開始するよう求めた。感染者増で先延ばしする場合は、都道府県が実施している「県民割」への補助を続けるべきだとしている。(共同)