選挙戦も最終盤に差し掛かった。参院選佐賀選挙区(改選数1)では、与野党から5人が立候補して論戦を繰り広げている。昨年秋の衆議院選挙に続いての国政選挙でもあり、改めて参議院の存在意義を考えておきたい。

 コロナ禍で社会全体から活力が奪われ、ロシアによるウクライナ侵攻を受けた物価高に家計からは悲鳴が上がっている。今ほど政治の力が求められている時代もないだろう。県内の国政課題に目を転じても、佐賀空港へのオスプレイ配備計画、九州新幹線長崎ルートのこれから、諫早湾干拓事業の開門調査問題と賛否の分かれる課題が山積している。

 参議院を巡っては、「衆議院のカーボンコピー」「衆議院の追認機関」などと揶揄(やゆ)されてきた。本来は、「良識の府」「再考の府」として多様な価値観に目配りしつつ、じっくりと腰を据えて議論する場のはずだ。そのために、衆議院のような解散はなく、任期も衆議院の4年に対して、6年という長い時間が与えられている。

 今、参議院が抱えている第一の課題は「合区」問題だろう。今回の選挙戦でも「鳥取・島根」「徳島・高知」は、二つの県を一つの選挙区でくくっている。このようないびつな形になったのは、1票の格差を是正する目的だったが、地域のそれぞれの実情に目をつむった単なる数合わせの結果ではないか。ただ隣り合っているからとひとくくりにされては、有権者の関心は失われ、ますます地方の声は国政に届きにくくなる。

 参議院も手をこまねいてきたわけではない。超党派の議員14人で構成する「参院改革協議会」が1年間にわたって13回の議論を重ね、選挙戦も押し迫った6月、報告書をまとめた。専門家を招いて意見や提言を聞き取ったり、各会派がそれぞれの立場を主張したりと議論そのものは深まったようだ。会派を越えて意見を集約するというところまでには至らなかったものの、おぼろげながら方向性が見えてきた。

 報告書は三つの「あり方」を示している。「多様な民意の反映」「地方代表的な性格」「参議院の独自性の発揮」である。

 とりわけ、「地方代表的な性格」を持たせる案に注目したい。自民党と立憲民主党が「各都道府県から少なくとも1人を選出」「最低でも1人を選出」と意見が一致した。これを軸に具体化を進めてはどうか。他党からはブロック制の導入という案も出たが、ブロック制では政治と有権者の距離感は埋まらないだろう。

 国際的にみても、先進7カ国(G7)はいずれも二院制を採用し、それぞれに独自性を与えている。例えば、米国の上院は50州が2人ずつ議員を選出する単純小選挙区制で、小さな州が大きな州と同じ発言権を持つ。最も人口が多いカリフォルニア州の3956万人に対して、最少のワイオミング州はわずか58万人しかいない。

 参議院にいかに独自性を持たせるか。「地方代表的な性格」案に大いに賛成だ。参院改革協議会は「次の協議会に引き継ぐ」と選挙後に託したが、いつまでも内輪だけで議論しているわけにはいかない。有権者の声に直接耳を傾ける貴重な機会だ。この選挙戦でも模索・検証を深めてほしい。(古賀史生)