佐賀県内最大の労働団体である連合佐賀(25産別、約3万5千人)。二大政党制の実現を目指して旧民主党系の支援団体として県内でも存在感を発揮してきたが、今回の参院選では支援先である立憲民主党と国民民主党の対立のあおりを受けて両党の間で板挟みに遭った格好となっている。選挙区では立民新人を推薦し「一丸の戦い」を強調するが、国民を支持する産業別労働組合が自主投票とするなど、微妙な距離感がにじむ。
「私たちは野党分裂の中、小さい政党である国民民主党を選んだ。政党支持率が3~4%になれば、今回の選挙もかなり楽になると思うが、現状でも1%台と言われている」。2日、佐賀市内のホテル。組織内候補を抱える産業別労働組合の関係者たちが総決起集会を開き、選挙の情勢を確認した。組織内候補の当選に向け心を合わせる一方、最後まで佐賀選挙区への言及はなかった。
国民民主を支持するUAゼンセン、自動車総連、電力総連、電機連合の四つの産別労組が中心となり、今年4月に国民県連が立ち上がった。佐賀県の「労働組合基礎調査」(2021年6月31日現在)によると組合員数は、UAゼンセンが1万29人、自動車総連2387人、電力総連2195人、電機連合1704人といずれも大所帯の組織だ。
国民は立民と同じく、旧民主党の流れをくみ、ともに連合の支持を受けているが、国民が2022年度予算案の採決で賛成に回るなど政権におもねる姿勢を見せたことなどから対立構図が顕著になった。
連合も21年10月の衆院選に関し、支援先が立民と国民に分かれたことで「一丸となって闘う困難さがあった」と総括。今回の参院選では宮崎、山口、香川の計三つの1人区で競合する結果となっており、連合佐賀の関係者は「競合している地域でも本当は一本化したかったと思う。票を取り合えば自民が喜ぶだけだから」と推し量る。
佐賀選挙区では国民が候補を擁立せず、連合佐賀も立民新人の小野司候補(45)を推薦するなど「一丸の戦い」を強調する。ただ国民は小野氏への推薦を出さず、産別でもUAゼンセンの推薦にとどまった。
7月に入ってからは小野候補の各地区での総決起大会が続き、連合佐賀からも幹部が応援弁士としてマイクを握る。会長代行や副会長らが順番に担っているが、そのローテーションに国民民主系の産別の県内代表者らの姿はない。
連合佐賀の幹部の1人は「国民民主系の副会長らは比例に注力している」とした上で「仲間の中でどこが(比例の)1位で当選するかを争っていて残念だ。与党ではなく、弱い野党の方が分かれてしまっている。二大政党を作ろうという原点がぶれている」と嘆息する。(大橋諒)