総務省消防庁は5日、6月に熱中症で救急搬送された人が全国で1万5657人に上ったとの速報値を発表した。6月の集計を始めた2010年以降で初めて1万人を超え、6月の1カ月として過去最多となった。これまでは11年の6980人が最も多かった。6月下旬から全国を襲った猛暑の影響とみられ、7割が6月24日~30日の1週間に集中した。

 搬送後に死亡が確認されたのは17人で、6月としてこれまで最多だった11年の14人を上回った。

 消防庁の担当者は「異例の猛暑に加え、急に気温が上がったため体が慣れず、体温調節が追いつかなかった可能性がある」と分析。夏本番を控えていることもあり、今後も小まめな水分補給や休息など、熱中症対策の徹底を呼びかけている。

 6月の搬送者内訳は、3週間以上の入院が必要な重症が439人、短期の入院が必要な中等症は5261人など。搬送者の5割超を65歳以上の高齢者が占め、発生場所の4割は住居だった。

 また、6月27日~7月3日までの直近1週間の搬送者数は1万4353人。4551人だった前週の3・2倍に増え、今年5月以降の1週間として最多となった。都道府県別は東京2030人、埼玉1383人、愛知1036人などの順。佐賀は95人だった。搬送後に死亡が確認されたのは6月29日に7人、7月1日に10人などで、1週間では27人に上った。

 5月1日~7月3日までの累計搬送者数は前年同期比3・4倍の2万4495人だった。

■高齢者の搬送が5割超

 過去最多となった6月の熱中症による搬送者は、65歳以上の高齢者が目立ち、全体の5割超を占めた。記録的な猛暑が続く中、熱中症が原因とみられる死亡事例は室内でも相次いでおり、政府は冷房や扇風機の積極的な利用を呼びかけている。

 徳島県鳴門市の住宅で6月29日、1人暮らしの男性(89)が倒れているのを、訪れたデイサービスの職員が発見、搬送先の病院で熱中症による死亡と確認された。エアコンなどを使っていなかったという。6月の搬送者をみると、熱中症の発生場所は自宅など住居が4割に上り、最も多かった。

 厚生労働省によると、高齢者は若年層に比べて体内水分量が少なく、喉の渇きなどに対する自覚症状も乏しいため、熱中症のリスクが高い。電力需給逼迫(ひっぱく)を回避するための節電期間が全国でスタートしているが、総務省消防庁の担当者は「暑さを我慢せず、冷房を使ってほしい」と話している。

 もっとも、子供らも注意が必要だ。各地の小中高では5月以降、体育の授業や学校行事で児童生徒が救急搬送されるケースが頻発。文部科学省は6月、体育や部活動などの際は、マスクを外すよう指導を求める通知を全国の教育委員会に出して、予防を促している。【共同】