佐賀など14府県で304人が犠牲となった2018年の西日本豪雨の被災自治体で、災害廃棄物から見つかった家族写真などの「思い出の品」は持ち主への返却が進んでいない。統一の管理基準はなく廃棄した自治体もあり、民間団体は「捜したい時に捜せる仕組みをつくるべきだ」と指摘する。最初の大雨特別警報が出てから4年の6日、広島と岡山の被災地で追悼式が開かれる。

 思い出の品は、がれきなどの中から見つかった写真や位牌(いはい)、手紙、賞状など。環境省は「災害廃棄物対策指針」で自治体に対して「事前に取り扱いのルールを定め、思い出の品および貴重品の回収・保管・運営・返却を行う」よう求めている。

 広範囲が浸水した岡山県倉敷市では約750点が集まった。市は20年8月と11月に返却会を実施し、一部が持ち主の元へ。写真はデジタルデータにしたが、この1年間、閲覧希望者がおらず、担当者は「もう需要がない」と話す。保管している物やデータ全てを本年度中に廃棄する。

 市の真備町地区で汚れた写真を洗浄してきたボランティア団体「あらいぐま岡山」の顧問福井圭一さん(51)は、災害後に約40万枚をきれいにした。「2世帯に1世帯は汚れた写真を手放し後悔していた。自治体は写真を保管しており、できる限り返却を続けてほしい」と話した。

 広島県東広島市はホームページでかばんや時計など保管物を公開しているが、持ち主は一度も現れていない。同県熊野町は返却できなかった141点を19年に廃棄。担当者は「保管場所の確保や保管期限の定め方が難しい」と話した。広島市も全て廃棄予定だが、約3千枚の写真だけはデータ化し、保管し続ける。

 東日本大震災の被災地で、思い出の品の返却活動を行う「三陸アーカイブ減災センター」(岩手県陸前高田市)には、21年度にも300人以上が訪れ、約900点の写真などが持ち主に返った。秋山真理代表理事は「震災から11年たった今も、この活動を知らない人は多い。思い出の品はその人が生きた証しで、大切な人の唯一の形見というケースもある。自治体は返却ノウハウや写真のデータ化について私たちに相談してほしい」と訴えた。【共同】