きょうは「サラダ記念日」。歌人の俵万智さんを有名にした一首〈「この味がいいね」と君が言ったから七月六日はサラダ記念日〉にちなむ。この歌集が出版されたのは1987年。35年たっても恋心のみずみずしい表現は色あせない◆俵さんは自分の名前を説明する時、「まち」の「ま」は「まんようしゅうのマン」と説明、多くの人に万と書いてもらえるという。万葉の時代から、人は恋心を歌に託してきた。短歌は恋のトキメキと相性がいいと、俵さんはエッセーに記す◆『サラダ記念日』にも恋の歌はたくさんあり、付き合い始めてから結婚までの過程が想像できる。〈「寒いね」と話しかければ「寒いね」と答える人のいるあたたかさ〉〈「嫁さんになれよ」だなんてカンチューハイ二本で言ってしまっていいの〉◆青春時代に恋の悩みはつきもの。昨年亡くなった瀬戸内寂聴さんは「若き日にバラを摘め」という言葉を好んで使っていた。バラのとげを怖がってはバラを摘めない。たとえ傷ついても若いうちはすぐに治る。だから挑戦しようという意味。でも、勇気を出せず、思うような恋物語を紡げなかった人もいるだろう◆コロナの感染者が再び増加傾向にある。一方でこの2年、時間は待ってくれないと痛感した。記念日をつくる勇気も大切と思う。それぞれの31文字に幸あれ。(義)

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