水を張った田んぼからカエルの鳴き声が聞こえてくる。「疲れ知らずか」と感心するほど、合唱は続く。田舎暮らしのBGM(バックグラウンドミュージック)。疎ましいが、夏の風物詩でもある◆カエルの鳴き声は昔から騒がしい音の代表だったのだろう。「蛙鳴蝉噪(あめいせんそう)」という言葉がある。カエルとセミはやかましく鳴くことから「がやがやしゃべること」を意味する。この夏はカエルやセミに加え、国政を目指す候補者たちの訴えがテレビから、街演車から響いてくる◆参院選は終盤戦に入った。佐賀選挙区には5人が立候補している。ウクライナ侵攻など国際情勢を受けた安全保障政策や物価高騰対策、県内では自衛隊輸送機オスプレイ配備計画や九州新幹線長崎ルート整備といった国策課題が争点とされる◆いずれも暮らしや地域の将来に関わる大事な問題であり、カエルやセミの鳴き声のようにBGMとして聞き流すわけにはいかない。各党、各候補の主張に耳を傾け、1票の投じ先を考えたい◆蛙鳴蝉噪は、つまらない議論をあざける時に使われる。訴える側は有権者の関心が高まるように論戦を展開しなければ、蛙鳴蝉噪といわれてしまう。と、ここまで偉そうに書いていたら、辞書にはつまらない議論だけでなく、「へたな文章」のあざけりにも使うとあった。人ごとではない。(知)

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