あまりにも急に、猛暑が到来した。国内の多くの地域で6月下旬、異例の早さで梅雨が明けた。記録的な高温は7月上旬にいったん和らぎそうだが、例年以上に厳しい夏となりそうだ。

 まだ暑さに慣れていないこの時期、急激な気温上昇に体が適応しにくい。熱中症のリスクが高まっており、医療機関への搬送が急増している。

 電力供給は依然として危うい。節電との両立という難問が突き付けられる中、命と健康を守ることを最優先に長丁場を乗り切りたい。

 今回の梅雨明けは、日本の南に位置する太平洋高気圧の北への張り出しが強まり、いつもは本州付近にかかる梅雨前線を北へ押し上げたことでもたらされた。上空の偏西風が日本付近で大きく北に蛇行したことが原因だ。

 気象庁は広範囲で続く猛暑について、太平洋高気圧の上に、中国大陸から張り出したチベット高気圧が日本上空で重なり、強い勢力になったことが要因とみている。

 南米ペルー沖などの海面水温が平年より低くなり、世界的に異常気象をもたらす「ラニーニャ現象」が影響しているとの見方も強い。この現象が発生すると、日本の夏は暑くなる傾向がある。今も継続中で、厳しい暑さは9月ごろまで長期化する可能性がある。

 地球温暖化の影響で、近年の日本は猛暑が当たり前のようになっているが、とりわけ2018年の夏は厳しく、「災害級」と言われた。このまま推移すると、今年も4年前の夏に匹敵する恐れがある。

 3月の福島県沖地震による火力発電所の被災などが影響し、電力の供給は綱渡りが続く。不要な照明を消すなど無理のない範囲で節電に協力していきたい。

 エアコンはほかの家電製品に比べて消費する電力量が多いが、使用をためらってはいけない。熱中症は屋内で起きることも多い。カーテンで日差しを遮るなどの工夫も重ねながら、室内温度を調整しよう。

 熱中症予防は、こまめに水分や塩分を補給し、睡眠と休養を十分に取ることが基本だ。体温調節機能が十分に発達していない子どもや、高齢者らは周囲が目配りを欠かさないようにしたい。

 新型コロナウイルス対策のマスク着用も、酷暑では体に負担がかかる。

 マスクを着けたまま、体育の授業を受けた子どもが熱中症で搬送される事例が相次いだ。これを受け、文部科学省は、体育の授業や運動部の部活中は児童生徒がマスクを外す指導をするよう教育委員会に求めた。

 政府も、屋外では近距離で会話する場合を除いてマスクを外すよう呼びかけているが、社会に浸透したとはまだ言えない。着脱指針を緩和したことについて周知に努める姿勢が求められる。

 九州、中国、四国などでは降水量が極端に少ない状態が続いている。ダムの貯水率が下がるなど、渇水や水不足が懸念される状況だ。

 一方で、この時期特有の大雨に対する警戒は解くべきではない。気象庁によると、7月上旬は太平洋高気圧の張り出しが弱まり、梅雨空が戻る可能性がある。日本の南で発生した台風4号の進路も気になる。

 記録的猛暑だった18年は、関東甲信が梅雨明けした後で西日本豪雨が起きた。大雨への備えは持ち続けるようにしたい。(共同通信・所沢新一郎)