生後4週間目のAちゃん。「生まれて2週間をすぎた頃から、ゼロゼロいうようになった。ミルクを飲んだあとは強くなる。だんだんひどくなるようで心配」と受診されました。確かに息を吸うときにはっきり喘鳴が聞かれます。機嫌は良くて、体重の増え具合も悪くありません。酸素飽和度(SpO2)も96~98%で問題なし。症状と経過から“喉頭軟化症”を疑い、耳鼻科の先生にお願いして、ファイバースコープでのどの奥をみてもらいました。その結果、吸気時に喉頭(気道の入り口あたり:軟骨でできている)がつぶれ気味となり狭窄(きょうさく)が起きていることが確認でき、喉頭軟化症の診断がつきました。

 乳幼児期に喘鳴が継続するときにまず考える病気のひとつです。赤ちゃんはそもそも喉頭が小さい上に喉頭を形成する軟骨や組織がやわらかいのでつぶれやすいのですが、出生直後は呼吸する力が弱いため症状がはっきりしません。しばらくして呼吸量が増えてくると吸気時に陰圧がかかり、喉頭部がつぶれて声門(声帯のあるところ:気管の入り口)が閉塞気味となり喘鳴が出てきます。泣いたり、ミルクを飲んだりすると呼吸が早く大きくなるので症状が強くなります。約90%の子は1~2歳までには次第に改善し消失します。

 無呼吸などがなく、SpO2も下がらず、ミルクがちゃんと飲めて体重増加不良などがなければそのまま経過をみます。風邪などの気道感染で症状が増悪することが多いので、感染を起こさないよう決められた予防接種をきちんと実施し、人混みへ連れ出すことを避け、感染予防に注意することが大事です。上向きに寝せると舌が落ち込みがちなので、横向きにしたり、肩枕をして呼吸をしやすくすることも有用です。

 症状が強いときはその他の合併症がないかどうかも調べます。合併症や鑑別する病気には気管軟化症、声門下狭窄、血管輪、胃食道逆流症などがあります。Aちゃんは成長と共に次第に症状が軽減し、来院することもなくなりました。

 

浜崎 雄平(はまさき ゆうへい)
佐賀整肢学園 からつ医療・福祉センター顧問。佐賀大学名誉教授。
1948年、鹿児島県日置市生まれ。九州大医学部を卒業し、テキサス大やオクラホマ大研究員などを歴任。
84年から佐賀医大(現佐賀大学医学部)小児科講師として勤務し、00年に同大小児科学教授就任、09年から医学部長を兼任する。
14年から現職。専門分野は小児の呼吸器/循環器疾患、アレルギー疾患。

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