選挙権年齢が18歳に引き下げられてから、7月の参院選は5度目の国政選挙となる。10代の政治参加が進むとの期待もあったが、投票率は伸び悩む。「自分とは関係ない」と考える若者にも当事者意識を持ってもらおうと、学校現場では選挙の意義を考え、投票を体験するなどの主権者教育に力が入る。

 「選挙に行く意味って何だろう」。神奈川県立小田原東高で6月15日にあった公共の授業で、野々村洋樹教諭(30)が生徒に問いかけた。4人ずつの班になり、10~70代以上の各世代がどんな悩みを抱えているのか議論。「30代は子育てと仕事の両立が大変」「70代は病気や介護にお金がかかる」などの意見が出た。

 野々村教諭は「世代ごとに悩みは異なる。だからこそ若者が選挙に行かないと高齢者だけの民主主義になってしまう」と説明した。

 総務省によると、18歳選挙権が適用された2016年以降、10代の投票率は30~40%台と低迷。21年10月の衆院選は43・21%で、最も高かった60代の71・43%と大差がある。担当者は「政治に関心を持てない人の他、進学などで地元を離れ投票に行けなかった人も多い」と指摘する。

 神奈川県では11年度から全ての県立高で、事前に予定が立つ参院選を中心に、実際の政党や候補者の主張を調べて模擬投票をしたり、選挙後に結果を振り返ったりする授業に取り組んできた。

 選挙権はまだないが、小田原東高1年岩田実波さん(16)は公共の授業後に「選挙はよく分からない印象だったが、投票に行ってみようと思えた」と感想を話した。同県での21年衆院選の10代投票率は48・17%で全国平均を上回っており、県教育委員会担当者は「効果は出てきている。今後は衆院選でも模擬投票を少しずつ拡大したい」と意気込む。

 若者の投票率向上に取り組む浦和大の林大介准教授は「模擬投票などを経験した生徒は投票率が高いという調査もある。普段から校則や地域の課題を考え、民主主義を感じられるような教育が広がることが大切だ」と話した。

 国政選挙での佐賀県内の10代の投票率(抽出方式)は、19年参院選が37・09%、21年衆院選が40・52%だった。主権者教育に関しては、佐賀新聞社が取り組んでおり、21年度は高校や特別支援学校、専門学校など12校で出前授業を実施した。