梅雨明けしたとみられる群馬県伊勢崎市の公園で水遊びをする子ども=27日午後

 2022年6月下旬の大気のイメージ

 気象庁は27日、九州南部、東海、関東甲信で梅雨明けしたとみられると発表した。関東甲信は統計がある1951年以降最も早く、6月の梅雨明けは2例目。東海と九州南部は過去2番目の早さとなった。

 3地方は向こう1週間程度も高気圧に覆われ、晴れる日が多い見込み。27日は関東を中心に気温が上昇し、全国914カ所の観測点のうち30度以上の真夏日は490カ所を超え、35度以上の猛暑日は60カ所を超えた。気温の高い日は当面続く見通しで、熱中症への警戒が必要だ。

 気象庁によると、九州南部は平年より18日早く、東海と関東甲信はいずれも22日早い。昨年に比べると九州南部は14日、東海は20日、関東甲信は19日早い。梅雨の期間は九州南部が16日間、東海が13日間、関東甲信が21日間にとどまり、いずれも過去最短だった。関東甲信の梅雨明けはこれまで2018年6月29日が最も早かった。

 27日は、栃木県佐野市で39・8度、群馬県館林市で39・1度を観測。東京都心は35・7度まで上がり、記録の残る1875年以降、6月では初めてとなる3日連続の猛暑日となった。

 他に気象庁は、四国、中国地方では5月以降の降水量が少ないとして渇水対策が必要になるとの認識を示した。また、北陸や東北を中心に大気の状態が不安定になるとして、大雨による土砂災害や河川の氾濫に厳重な警戒を呼びかけた。

 佐賀地方気象台によると、27日の九州北部はくもりで、県内には雷注意報が発令されており、梅雨明けの発表が出なかったとみられる。

 県内では気温が上昇し、唐津市32・4度、佐賀市川副町31・9度、伊万里市31・5度と、3地点で今年最高を観測した。唐津市浜玉町では、高齢男性が農作業中に熱中症の疑いで倒れて病院に搬送された。

 28日以降も、最高気温が30度以上となる真夏日が続くと予想されている。

 

■偏西風蛇行、高気圧が前線押し上げ

 九州南部、東海、関東甲信で27日、異例の早さで梅雨明けが発表された。日本列島付近の上空では6月下旬、偏西風が蛇行し、太平洋高気圧が北に強く張り出して梅雨前線を押し上げている状態だ。3地方では当面、晴天と高温が続く見通しとなっている。

 気象庁によると、偏西風は欧州から波打ちながら東に流れ、24日ごろからは列島付近で北に蛇行を始めた。このため、例年は列島の太平洋側沿岸にとどまる太平洋高気圧が列島上空まで張り出して晴天となり、南から吹く暖かい風で気温が上昇している。

 気象庁は、偏西風の蛇行は1週間程度続くとみて、3地方の梅雨明けに踏み切った。6月12~25日の降水量は東日本の日本海側で平年比46%、東日本の太平洋側で63%、西日本では日本海側で61%、太平洋側で71%となっており、今後も雨の少ない状態が続くとみられる。

 偏西風の蛇行は7月4日ごろに終わり、太平洋高気圧の張り出しもやや弱まる見込み。一方で、世界的な異常気象をもたらすとされる「ラニーニャ現象」が昨年秋から太平洋で続いており、影響で偏西風は北に偏って太平洋高気圧が勢力を強め、7~9月は厳しい暑さになると予測されている。【共同】