山田洋次監督の映画「学校」は夜間中学が舞台。田中邦衛さんが演じたイノさんをはじめ、焼き肉店を営む在日コリアンの高齢女性、不登校だった少女など、幅広い年代の多様な生徒たちが懸命に生きる姿を描いた◆若い頃から肉体労働を続けてきたイノさんは、読み書きができない。50歳を過ぎてから勉強を始め、憧れの先生に生まれて初めてはがきを出した。ほとんど平仮名で、宛名の漢字は定規を使って書いた。淡い恋はかなわないが、自分の文字が判読されて相手に届く喜びを味わう◆夜間中学は戦後、就労などで義務教育を受けられなかった人のために整備された。全国の公立夜間中学は15都道府県で40校(今年4月時点)。国はすべての都道府県と政令指定都市に設置する方針を示しており、これから加速するとみられる◆佐賀県でもきのう第1回の設置検討委員会が開かれた。事前の需要調査では日本人96人、外国人107人が通学を希望した。日本人からは「学び直しをしたい」「高校に入学したい」などの声があり、外国人は「読み書きができるようになりたい」が最も多かった◆映画「学校」の中で「幸福とは何か」を話し合う場面がある。それぞれに思いを語るが、最後に行き着いた答えは「幸せを分かるために勉強する」だった。幸せに近づく学びの場ができればいい。(知)

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