旬の魚キャンペーン(左)と「唐津ん魚FAN拡大プロジェクト」のウェブサイト画面

 日本の1人当たりの魚介類消費量は2020年度に23・4キロとなり、比較可能な1960年度以降で最低となった。このほど公表された水産白書で明らかになった。ピークだった01年度40・2キロの6割弱にまで減少。生活様式や食生活の変化、多様化するニーズが浮き彫りになった。

 消費量は1990年代までは増減を繰り返し、ピーク後はほぼ右肩下がりが続く。20年度は新型コロナウイルス感染症で外食が減った影響はあるが、肉類は拡大傾向が続いて33・5キロで、魚離れはコロナ禍だけでは語れない。漁業振興には消費者との”懸け橋”をどう築くかが問われる。

 有明海、玄界灘と相異なる海を持つ佐賀県。21年度から「唐津ん魚FAN拡大プロジェクト」に取り組む。唐津市や玄海町、伊万里市で水揚げされた水産物を常時販売することなどで「こだわりの店」に認定。県が認定証やのぼり旗、ポスターなどを提供する。初年度はホテルや旅館を含む飲食店、本年度は鮮魚店やスーパーなど小売店にも拡大した。

 玄海地区の漁獲量は10年の1万282トンから19年は7割減の3006トン。県水産課は「地魚としてブランド化を図り、消費拡大はもちろんコアなファンを広げていきたい」と話す。現在、認定登録の飲食店は100店を超えたが、小売店を含めて”看板”にとどまらず、親しみやすい情報発信や消費者とのコミュニケーションなど「足を向けてもらう仕掛けづくり」(同課)が今後の課題だ。

 白書は長引く低迷の要因に、価格の高さや調理に手間がかかったり調理方法が知られていないことなどを指摘。今後の対応策として、時短や簡単レシピなど調理者・購入者の負担感の解消▽ミールキットなど手軽でおいしい新商品の開発▽ネットスーパーやコンビニのメニューの充実-などを挙げる。

 「魚を食べたいと思っている人は多い」。消費者動向調査に基づき、そう話すのはNPO法人「浜-街交流ネット唐津」の千々波行典代表理事。データでは主菜で「増やしたい」は魚介類が最も多く、次いで大豆・大豆製品が続く。健康志向が背景にある一方、調理は「できるだけ簡単に」が最多で、「おいしいものを」を上回る。

 同法人は「豊かな海と漁業を後世に」と2008年に発足。ウェブサイトなどでの情報発信、料理や漁業体験など消費者交流、加工品開発など販売支援の3本柱で活動してきた。昨年はたこ飯、あじカツなどの冷凍食品「漁師飯」が日本ギフト大賞の佐賀賞を受賞。さらに手軽に食してもらうためレトルト品も近く販売を始める。

 世界で増加傾向にある中、過去最低となった国内の消費量だが、巣ごもり需要もあり、20年の水産物の家庭用冷凍食品は生産量が前年と比べ19・4%増えている。「作りたくはないけど食べたい」。そんなニーズに応える新たな魚食文化を創造していきたい。(松田毅)