22日に公示された参院選は、佐賀選挙区(改選数1)に現職と新人の計5人が立候補した。国政を目指す5人はどのような人物なのか。来歴や政治観、プライベートのエピソードなども織り交ぜながら、それぞれの横顔を紹介する。(上から届け出順) 

 

■福岡資麿氏(49)自民・現

週末は家族に朝食手作り

福岡資麿氏

 帰宅すると、7月に4歳になる長男が笑顔で駆け寄ってくる。「子育ては大変だが、何事にも代えがたい喜びを感じる」。45歳で初めて子どもを授かり、不妊治療や高齢出産、保育政策などにさらに思いを巡らすようになった。

 土、日は、家族の朝食を作って仕事に行く。和、洋食、中華を作るほど料理が得意。近年は栄養バランスにも気を遣い、卵焼きが苦手な長男のために茶わん蒸しも作る。「パスタには食材を刻んで入れる。子どもとの時間が少ないからこそ、成長に貢献したくて」

 自民党厚生労働部会長として、新型コロナ対応の最前線に立った。感染拡大防止のため、入院患者が家族に面会できないまま最期を迎えることもあり、葛藤した。「ご家族も苦しい思いをずっと引きずっていく。申し訳ない一方で、感染拡大のリスクがある。これを受け止めて模索したい」。参院議院運営委員長として野党と粘り強く交渉した経験に触れ「どうすれば納得いただけるか勉強させてもらった」と振り返る。

 3年前は、アキレス腱(けん)を痛めて松葉づえで選挙に臨んだことを反省し、剣道の稽古は控える。佐賀市兵庫北。(大田浩司)

 

■小野司氏(45)立民・新

ひとり親世帯の苦労知る

小野司氏

 18歳で結婚、19歳で出産、その後はシングルマザーとして子育てと仕事に奔走した。「就職氷河期世代で、一つの仕事では生活ができない。子どもの笑顔を守りたいし、友達と同じ趣味も持たせてやりたい」。飲食店や式場スタッフの仕事をかけ持ちするなど、ひとり親世帯の苦労を知る。

 政治経験はないが、街演車に同乗する運動員などとして選挙に携わってきた。5年前から大串博志衆院議員(佐賀2区)の事務所に関わるようになり、17年衆院選では、小池百合子東京都知事が唐津で街頭演説する際も、司会役としてマイクを持った。

 「政治家になろうなんて1ミリも考えていなかった」が、今年に入って打診を受けた。「一人の国民として、生活のことは語れるけれど、学歴も実績もない」と迷ったが、「やらないで後悔するより、やって後悔したほうがいいよ」。千葉県で暮らすひとり息子の一言が背中を押してくれた。

 仕事のスイッチを入れるときにはハイヒールが必須アイテムだったが、出馬表明後はスニーカーで靴底をすり減らす毎日だ。「好きな音楽をかけて花をデッサンするのが息抜き」。愛犬はトイプードル。唐津市和多田。(大橋諒)

 

■稲葉継男氏(46)参政・新

福祉畑、傍観者を“卒業”

稲葉継男氏

 「私みたいな素人でも選挙に出ちゃうほど、(日本は)危機なんじゃないか」。自身が傍観者を“卒業”する決意を固めるとともに、有権者にも「社会の枠組みや政治のあり方を再構築しよう」と呼び掛ける。

 唐津東高から九州大理学部に進み、上京しフィットネス業に十数年勤めた後、福祉業界で起業。知的障害がある兄がおり、踏み出すことをためらった時期もあったが、今では「バックボーンは福祉。育ててもらった」と恩を感じている。複数の障害福祉事業所で、知的障害・精神障害、引きこもり、生活保護受給者らを支援している。現場ではジレンマに直面することも多い。そんな中、数カ月前に不思議な転機が訪れた。

 仕事で知り合った相手に参政党の演説動画を薦められた。視聴して共感を覚えていた時、アルバイトの面接に来た女性から「参政党から出馬しては」と“逆スカウト”。気持ちの整理にと記入した応募フォームが立候補の契機となった。

 ネット動画を通じて支持を広げる団体の勢いを背に受ける。「政策よりも誠実さ」を掲げ、東京と佐賀を行き来する18日間の選挙戦を駆け抜ける。東京都千代田区。(志垣直哉、川崎久美子)

 

■眞喜志雄一氏(31)N党・新

お笑い芸人目指した時も

眞喜志雄一氏

 NHK党の候補者公募に手を挙げて一度は選考に漏れた。佐賀選挙区で出馬予定だった人の辞退で一転、繰り上げで党公認候補に決まった。記者会見では「初めてのことばかりでワクワクしている」と笑った。

 2014年ごろ、NHK党の立花孝志党首をユーチューブ動画で見た。「面白い人」との印象だった。立花氏が19年に参院選比例代表で当選を果たすと「有言実行の人」に変わり、一緒に活動できたらとの思いが増した。テレビを持つと、強制的にNHKの受信料が発生するのは、時代に合っていないと感じる。「見たい人がお金を払って見ればいいと考えるのが普通の理論」

 高校卒業後は、お笑い芸人を目指して養成所に入った。1年間の授業で人前で緊張しなくなったが、芸人になることはせず、さまざまな会社で約8年、コールセンターの仕事をした。

 小中学校では野球部。沖縄の海でのシュノーケリングを楽しむ。年間30冊以上本を読むといい、中でも印象に残るのは百田尚樹氏の『日本国紀』。自らを「愛国心が強い」と話し「国のために立ち上がろう」と自衛隊か政治家になろうと考えたという。沖縄県北谷町(ちゃたんちょう)。(中島幸毅)

 

■上村泰稔氏(57)共産・新

長女と文学談議を楽しむ

上村泰稔氏

 衆参合わせ、国政選挙への挑戦は8回目。「これまでのどの選挙より、政治家を目指した出発点と重なるところが大きい」と特別な思いを抱く。「命と平和」という活動の原点を強く意識しながら、共産党9年ぶりの公認候補として佐賀選挙区で戦っている。

 念頭にあるのは、ロシアによるウクライナ侵攻。子どもを含め多くの命が奪われ、未熟児で生まれた長男を抱き上げた時に感じた命の尊さを思い起こすという。「大切な命をミサイル一発で吹き飛ばしてしまうような戦争はやめさせなければ」と憲法9条を生かした平和外交を訴える。

 原爆投下予定地だった北九州市に生まれ、研究者になって核兵器をなくそうと佐賀大理工学部に進学。核兵器使用も辞さない構えを見せるロシアに対し「核を脅しに使うことは絶対に許せない」と語気を強める。

 冷静な受け答えが印象的だが、家族の話題になると表情が緩む。新潮社の新人文学賞を受賞した大学生の長女裕香さんと、受賞作について「あーでもない、こーでもないと語り合ったのが楽しい思い出」。妻との買い物も大切な触れ合いの時間だという。佐賀市光。(江島貴之)