アサヒビールの「新九州工場(仮称)」のイメージ図

 アサヒビール(東京都)は23日、2025年末をめどに操業を終える博多工場(福岡市)の移転先候補地に鳥栖市を選んだと発表した。26年から「新九州工場(仮称)」として操業を始める計画。候補地は鳥栖市が造成する新産業集積エリア(27ヘクタール、幸津町)で、土地売買契約に関する市議会の議決を経て正式決定する。

 同日、アサヒビールが緑地などを除いた分譲可能な全面積に当たる21ヘクタールの土地譲受申込書を鳥栖市に提出し、市が受理した。市は30日までに仮契約を結び、7月6日の臨時議会に諮る予定。土地売買に関する仮契約額は、約91億円を見込んでいる。

 同社によると、高速道路の鳥栖ジャンクションがあり九州全域へ効率的な商品供給ができる、十分な水量、敷地面積を確保できることから鳥栖市を選んだ。敷地面積は博多工場の2倍以上、想定年間生産量は1・3倍となる。

 新工場では主力の「スーパードライ」や「クリアアサヒ」をはじめ、新たに缶酎ハイやアサヒ飲料の商品なども製造。年間約2300万箱を生産する(1箱はビール大瓶20本換算)。九州エリアに出荷する大部分の商品が製造でき、配送距離の短縮で物流の二酸化炭素(CO2)排出量は30%削減になる見込み。

 博多工場の従業員約120人を新工場に配置転換し、当面は新たな雇用は見込んでいないが、将来的には発生する見通しという。

 新産業集積エリアは県と鳥栖市が共同で整備し、買収用地の農地法違反問題で20年度の分譲開始予定から計画が大幅に遅れていた。今年4月に違反状態が解消され、市が7月までに事前調査を終え、造成に入る。造成完了は26年度を予定していたが、市は「(26年操業開始とする)企業側の要望に間に合わせたい」とし、同社の工場配置計画に基づいて計画を練り直し、前倒しを図る。(北島郁男、樋渡光憲)