北海道を舞台にした映画「幸福(しあわせ)の黄色いハンカチ」は、高倉健さん演じる主人公が網走刑務所を出所する場面から始まる。その主人公、食堂に入ると真っ先にビールを注文する。コップを両手で挟んで一気に飲み干す。いやあ、うまそう。物語が展開し、6年ぶりの一杯だったことが分かる。刑務所でビールは出ないだろう。おいしそうなわけだ◆梅雨に入り、蒸し暑い日が続く。6年も我慢しなくても、ビールのおいしさが増す。よく働いたと思う日、大げさかもしれないが、風呂上がりのビールに「この一杯に生きてるのかも」と思ってしまう◆アサヒビール(東京都)がきのう、鳥栖市に新工場を建設すると発表した。2026年の操業開始という。現在の博多工場に行ったことがある。モノづくりの現場はやはり楽しい。鳥栖の新工場で雇用が生まれ、工場見学など波及効果が広がりそうだ◆ビールの歴史は古く、紀元前4000年にさかのぼるといわれる。人類はそんな昔からビールを楽しんできたのか。第三のビールでも発泡酒でもいい。ビールを夏の楽しみにしても罰は当たらないと思う◆とはいえ、「一杯は人酒を飲み、三杯は酒人を呑(の)む」という言葉がある。酒に限らず、欲望に支配されてはいけないという戒めだろう。我慢の日も織り交ぜながら、夏を乗り切っていくとしよう。(義)

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