講演するロースドルフ城主のガブリエル・ピアッティ氏=有田町の佐賀県立九州陶磁文化館

ガブリエル・ピアッティ氏らと記念撮影をする有田工業高の生徒=有田町の佐賀県立九州陶磁文化館

 有田町の佐賀県立九州陶磁文化館で22日、特別企画展「海を渡った古伊万里~ウィーン、ロースドルフ城の悲劇」のために来日したオーストリアの同城主、ガブリエル・ピアッティ氏(35)を迎えたシンポジウムが開かれた。ピアッティ氏は地元の若者たちとの対話で、世界に誇る焼き物文化を次の世代に引き継いでほしいと呼びかけた。

 ロースドルフ城は第2次世界大戦末期の1945年、ソ連軍に接収され、古伊万里などの陶磁器コレクションが破壊された。特別展はピアッティ家が所有する陶片を展示し、欧州の人々を魅了した有田焼の歴史や、戦争の愚かさを伝えている。

 講演でピアッティ氏は、1万点以上の陶片を戦争遺産として守り続ける理由について「物は壊されても、そこに刻まれた歴史は壊すことはできない」と述べ、「この展覧会のように、陶片に込められた平和のメッセージを人々が共有し、国境を越えて友好を築くことができる」と力を込めた。

 高校生や大学生との意見交換もあり、有田工業高セラミック科3年の杉本紗也佳さんが「陶磁器を学ぶ私たちのこれからに、アドバイスをください」と助言を求めると、ピアッティ氏は「国際化が進む中で古い伝統が失われつつあるが、古いものこそ守る価値がある。焼き物を作る文化と伝統を大切にして、次世代に残してほしい」と答えた。

 特別展は7月18日まで開かれている。(青木宏文)