夏の決戦となる参院選は22日公示され、18日間の選挙戦の幕が上がった。佐賀選挙区(改選数1)は自民党現職に、立憲民主党と共産党、NHK党、政治団体の「参政党」の新人4人が挑む構図となった。候補者たちは、新型コロナウイルスや物価高騰への対策、安全保障について論陣を張った。(上から届け出順)
福岡資麿候補(自民・現)
第一声「恩返しする機会与えて」

今回の選挙は、安定か、混乱の状況を生み出すかが問われている。ウクライナ侵略などに、政治勢力を安定させて毅然(きぜん)と立ち向かう。全身全霊で戦っていく。
新型コロナでは当たり前の日常を取り戻すため、医療体制を整える。医療や介護、保育で大変な思いをした方の処遇も改善しなければいけない。食材や資材、燃油が上がり生活が苦しい。物価対策に全力で取り組む。肥料や飼料の高騰にもしっかり対策を講じる。
県内は昨年と3年前、豪雨で甚大な被害を受けた。安心して暮らせる地域づくりへ首長と連携し国で予算をつける。国政で恩返しをする機会を与えて。佐賀の未来を皆さまと共に切り開かせてほしい。(佐賀市の松原神社で)
■出陣式
800人集結、政治の安定熱く
自民党の福岡資麿候補(49)は佐賀市の松原神社で支持者ら約800人(陣営発表)を前に「政治を安定させ、混乱を乗り越えよう」と訴えた。
選対本部長の留守茂幸自民県連会長、総括責任者の山下雄平参院議員、選挙協力を結ぶ公明党の吉田久美子衆院議員、県農政協議会の大島信之副会長らが出席。留守会長は「4割近くが期日前に投票される。この日を最終盤と思って」と引き締めた。
(大田浩司)
■公約
未来に向かって持続可能な社会、その中で活力ある故郷佐賀を創る。具体的には、(1)佐賀の強みである農林水産業や商工業を地域の成長産業へと推し進め、所得の向上を図る。(2)燃料高など物価高騰に迅速に対応。(3)風水害などの災害に負けない地域づくりを進める。(4)コロナ禍から日常を取り戻す。(5)医療・介護・年金などの社会保障をさらに充実させ、すべての方々が安心できる社会を構築する。(6)日本の国土と皆さまの命、平和を守る。このような政策を通して、皆さまが佐賀で働き、こどもを佐賀で産み、育てやすい環境をつくっていく。
小野司候補(立民・新)
第一声「生活目線で政治変える」

シングルマザーとしてダブルワーク、トリプルワークをして子どもを育ててきて思うのは、この国は子育て関連予算が少なすぎるということだ。物価高騰で給食費も上がると思うが、子どもたちに等しく安全な物を食べさせてあげるためにも、国が負担すべきだ。
奨学金という名の子どもの借金もなくしたい。学びたい子どもたちに借金をさせる社会は絶対にあってはならない。私は介護の資格を持っているが、介護職の待遇改善も訴えていく。
生活目線で明日を変え、政治を変える。皆さんと同じ目線で、この佐賀県から、小さな声でもみんなと声を上げることで政治は変えられる、変えていけるということを訴えていきたい。(佐賀市の街頭で)
■出発式 物価高への政府対応批判
佐賀市のホテルであった立憲民主党の小野司候補(45)の出発式には約100人が集まり、物価高への政権の対応を批判、「佐賀から生活目線で政治を変える」と気を吐いた。
大串博志衆院議員は「経験や政策知識があっても生活の感覚がないと役に立たない」と強調。連合佐賀の井手雅彦会長は立民が衆院の県内2議席を独占している現状を念頭に「決して勝てないことはない」と団結を訴えた。(大橋諒)
■公約
子ども・子育て支援の強化を通じて、地方の少子化問題に歯止めをかけ、地方を元気に。子ども・子育て予算を倍増して、学校給食無償化、大学授業料無償化、児童手当の増額・高校卒業年次までの延長等を実現。介護従事者の待遇を大幅改善。物価高騰対策を強力に進め、消費税を5%引き下げ、物価上昇に負けない年金制度を作る。肥料、飼料、燃油の高騰対策で1次産業を、コロナ債務軽減で中小地場の事業者を支援。農業者戸別所得補償復活で農業の所得を増やす。諫早湾干拓の開門実現。排水施設の抜本強化等水害対策を迅速に充実強化。
稲葉継男候補(参政・新)
第一声「政治に変化を起こす時」

唐津市出身で、福祉事務所を運営し知的障害・精神障害、引きこもり、生活保護の方々を支援してきた。個人では解決できない問題に政治の力が必要だと思い知らされ、政治の場で人に奉仕することを選択した。
参政党の三つのビジョンは教育、食と健康、国の守り。これに全国で大勢が賛同し、いま6万人を超える人に志が拡散している。かつてないほど大きなムーブメントになっている。
いくら政策論争をしても日本の政治は変わっていない。いま問われているのは政治家の人間力。日本の政治に変化を起こす時だ。参政党という新しい選択肢がある。私は変わる、あなたも変わる、日本も変わる。共にやっていきましょう。(唐津市内で)
■出発式 出身地唐津で声張り上げ
政治団体「参政党」の稲葉継男候補(46)は佐賀市で立候補を届け出た後、出身地・唐津へ。唐津城や舞鶴橋を背に出発式を開き、党の「三つのビジョン」を訴えた。
人手はポスター張りに割り振り、聴衆は陣営幹部ら10人前後。「一、二、参政党」と気勢を上げ、くじで引き当て「縁起が良い」と沸いた「3番」の枠に自らポスターを張ると、充実したような表情で車に飛び乗った。(志垣直哉)
■公約
(1)地域包括ケアシステム再構築 医療・介護・福祉・教育分野を地域全体の人・物・情報資源を共有し活用します。(2)農林水産業の再構築 異業種連携とIT化・人材育成により農林水産業を復興します。(3)地方創生の再構築 少子高齢化・人口流出・経済低迷に、産官学の協働プロジェクトで取り組みます。(4)災害対策の再構築 地震・水害・火災等への防災・減災の仕組み作り・組織作りで、安心安全な生活環境を整備します。(5)行政の再構築 情報や組織の、可視化・数値化・仕組み化で、行政の信頼を回復します。
眞喜志雄一候補(N党・新)
第一声「NHKの被害者を守る」

佐賀選挙区にNHK党の公認で立候補させていただいた。訴えたいこと、NHK党としてやりたいことは、NHKからの被害者の方をお守りすること。
受信料を巡って、NHKから訴えられた方の裁判費用を肩代わりする。党は、集金人を撃退するための活動でコールセンターを運営している。活動のためにはお金が必要で、皆さん一人当たり250円という形で政党助成金があり、NHK党にも入る。1票を多く得るために、国政選挙に出させていただいた。
交付される政党助成金を使ってNHKの被害者を救済する。有言実行で、NHKの被害者の方を守る。
参議院選挙に勝って、NHKをぶっ壊す。(佐賀市内で)
■自身で届け出、ポスターも
NHK党の眞喜志雄一候補(31)は、佐賀県内に事務所は構えず、沖縄からSNS(交流サイト)や動画投稿などでアピールするという。立候補届け出会場で自ら手続きした後、佐賀市の佐賀城公園付近で第一声を上げた。党が掲げる公約に触れ「受信料を巡って訴えられた人の救済のために活動していく」と強調した。佐賀市内で一部の掲示板にポスターを貼って歩き、夕方の飛行機で沖縄へ戻った。(中島幸毅)
■公約
(1)NHKからの被害者を守る
(2)消費税などの減税
(3)防衛力の強化
(4)原発の再稼働
上村泰稔候補(共産・新)
第一声「暮らし応援する政治を」

この参院選は、希望が持てる日本をつくり出す大きなチャンス。憲法を生かした平和の外交力が、日本でも世界でも求められている。暮らしの問題では、消費税率を5%に戻し、最低賃金1500円を実現する。安心して暮らせる金額に年金を増額する。返済不要の奨学金を増やして若者が希望を持てる社会をつくる。
平和の外交力で世界と連帯してロシアを追い詰め、紛争を終わらせる。物価高騰が深刻な今、暮らしを直接応援する政治が必要。大企業の内部留保に課税をして賃上げの財源にする。
今度の選挙は政治を大きく切り替え、人に冷たく弱い経済から人に優しく強い経済に切り替える大きなチャンスだ。(佐賀市の駅前まちかど広場で)
■人に優しく強い経済訴え
平和と暮らしを守り、希望を生み出す-。共産党の上村泰稔候補(57)は、支持者約30人が集まった佐賀市の駅前まちかど広場で第一声を上げた。
応援演説では、物価高の影響の大きさを指摘する声が続いた。買い物先で「一番安いブドウでいいよ」と語った娘の話を紹介した女性後援会代表らの切実な訴えを受け、上村候補は「人に優しく強い経済に切り替えよう」とマイクを握りしめた。(江島貴之)
■公約
戦争か平和か-日本の針路が問われている
・ロシアはウクライナから撤退を!国連憲章を守れ!
・憲法9条を生かし、平和の国際秩序を!
軍備拡大ではなく、命とくらしを守る政治に転換
・消費税5%に緊急減税、インボイス制度は中止を
・最低賃金時給1500円に、雇用は正規雇用
・生活できる年金へ、底上げを図る
子育て応援!子どもと父母の負担を軽く
・大学の学費を半額に、返済不要の奨学金の拡充
・小中学校の給食費を無償化